全国的に梅雨が明けました。
いよいよ本格的な「暑さ」が始まりますね。すでに最高気温が35℃以上のいわゆる「猛暑日」となった地域があちこちに出ているようです。
そんな暑い1日の始めは、いつにも増して「朝ごはんは、いいや…」となる人も、きっと多いと思います。
でも待ってください!
朝食を摂らないと、“思わぬリスクを生む可能性がある”ことがわかったのです。
朝食を抜くと…?
2016年2月、「朝食を抜くと脳出血のリスクが36%増加する」という論文を、磯博康大阪大教授と国立がん研究センターなどのチームが米医学誌に発表したことを、日本経済新聞が報じました。
磯教授らによると、朝食を毎日食べる人に比べて、週に2回以下しか朝食を摂らない人は脳出血のリスクが36%上昇すると発表しています。その原因に、朝食を摂らないことで朝の血圧が高くなるからではないかと述べています。
なぜ、朝食を摂らないと血圧は高くなりやすいのでしょうか。
じつは朝食には、血糖を上げて体を目覚めさせるという役割があります。
前日の夕食からすでに半日以上食事を摂取していない体は低血糖の状態となっています。朝食を食べずに職場や学校へ行くと、お腹が空いたまま脳や体を動かすことになります。
すると、うまくはかどらなかったりすることでイライラしてしまい、このイライラが朝の血圧を上げてしまう原因となるのです。
朝の血圧はそもそも上がりやすい
朝食を食べないとお腹が空いてイライラするため、血圧を上げてしまうことは分かりました。
しかし、そもそも朝は血圧が上がりやすい傾向にあります。
血圧は、1日中一定なわけではなく上下しています。食事の前後や運動後は血圧が上がりますし、排泄後や入浴後は一時的に血圧が下がります。このように、1日の動きに合わせて血圧が上がったり下がったりしているのです。
この血圧の変動を調節しているのが自律神経です。
自律神経とは、血圧や呼吸、脈拍、消化管運動などさまざまな体の働きを調節している神経です。自律神経には、日中や興奮時に活発になる「交感神経」と、寝ている間やリラックスしているときに活発になる「副交感神経」があります。
血圧は交感神経が活発に働くと上がり、反対に副交感神経が働いているときは下がります。
このことは、夜寝ている間の安静時は副交感神経が優位になっているので血圧は下がり、朝に目覚めて交感神経が優位になってくると、血圧は次第に上がってくる、ということです。。
つまり、朝、目覚めてからお昼までの血圧は、徐々に上がっていくというのが体の正常な反応なのです。
血圧が高い人は午前中の空腹に注意
このように、朝に目覚めると徐々に血圧が上がっていくという体の自然な反応から、
朝食を抜くことでお腹が空いてイライラするとさらに交感神経が高ぶり、血圧が高くなりやすくなってしまいます。
また、もともと高血圧の人は尚更、注意が必要です。
特に、朝起きぬけに血圧が高くなりやすい「早朝高血圧」の人は、突然死のリスクが高いといわれています。早朝高血圧の人は、朝食を抜くことでさらに血圧が高くなるので、血圧管理と食事管理をする必要性があるといえます。
朝食の大切さの見直しを!
朝食は、眠ったままの体を稼動させることで体温や血圧、血糖を上げて、1日の活力を与えるものです。
朝食を抜くことで糖分が足りないと、頭がボーとしたりイライラしたりしますし、イライラすると血圧の上昇や昼食のドカ食いを誘って生活習慣病を招いてしまいます。
今一度、朝食の大切さを見直し、健康な1日のスタートを切れるようにしていきましょう。
<参考>
『日本経済新聞』 2016年2月5日「朝食抜きで脳出血リスク増 血圧上昇が原因、阪大など調査」
執筆:田原 晴(看護師、保育士、助産師)
<執筆者プロフィール>
田原 晴(たわら・はる)
看護師。保育士、助産師の経験もあり。現在は子育てをしながら、妊娠や出産、子育て、健康に関するコラムを主にweb上で執筆。「女性に関わる体や心の問題」は、特に注目すべきテーマとして活動中。
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記事提供:Mocosuku