眼前に迫る中国の脅威。日本はアメリカに見捨てられたら終わるのか?

 

今や到底無視することができなくなった中国の驚異。繰り返される尖閣諸島周辺での領海侵入は実効支配への布石と見る評論家もいるほど、事態は差し迫っていると言っても過言ではありません。このような状況下で日本はどのような政策を取ればいいのでしょうか。無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者・北野幸伯さんが、日米関係を含む「日本が進むべき針路」について言及しています。

弱い日本が強い中国に勝つ方法

「弱い日本が強い中国に勝つ方法」と書くと、「日本は弱くないぞ!」と批判されそうです。まったくそのとおりですが、話をわかりやすくするために、仮に「弱い」ことにします。

脅威に対抗する、二つの方法

ある国に、大きな脅威が現れてきた(たとえば、日本にとっての中国)。これに対抗する方法は、大きく二つあります。

一つは、バックパッシング(責任転嫁)。これは、「自分で戦わず、他国に戦わせる」のです。

たとえばアメリカは、プーチン・ロシアを脅威と感じている。その時、自分では戦わず、ジョージア(旧グルジア)をロシアと戦わせる(08年8月のロシアーグルジア戦争)。あるいは、ウクライナをロシア(正確には、ロシアからの支援を受けるウクライナ東部親ロシア派)と戦わせる(14年に起こったウクライナ内戦=米ロ代理戦争)。

日本人の感覚からすると、「バックパッシング」は「ずるいな~」と感じます。しかし、リアリストの大家ミアシャイマー先生は、「大国はバックパッシングを好む。なぜなら、自国で脅威と戦うより、他国に戦わせたほうが安上り』だからだ」と断言しています。

ここで、非常に注意すべき点があります。日本人の多くが、「平和憲法は日本の誇り世界から尊敬されている」と考えています。しかし、アメリカから見ると、日本がしていることは、「バックパッシング」に他ならない。なぜか?

中国が日本を攻めてきたらアメリカに戦わせよう!

その一方で、

アメリカが中国に攻められても日本は決してアメリカを守りません。なぜなら日本は、『平和主義』だからです!」

これは、どうみても「責任転嫁」(バックパッシング)。アメリカ人が「日本は狡猾だ!」と考えるのは、当然なのです。トランプさんが、「日米安保ただ乗り論」を展開し、アメリカ人は「そうだ!そうだ!」と同意する。日本国民は、「なぜそうなのだろう?」と、向こうの立場にたって考えてみる必要があります。

もちろん、「アメリカが今の形にしたのではないか?!」という反論はもっともです。しかし、時は流れ、事情は変わります。日本も時代と共に変わっていくべきです(伝統を捨て去れという意味ではありません。念のため)。

さて、脅威に対抗する二つ目の方法は、バランシング(直接均衡)といいます。これは、バックパッシングとは違い、「自国で責任をもって脅威に対抗するのです。

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