誰が「円」を殺したか? これから日本国民が味わう塗炭の苦しみ

 

金融抑圧

もう1つが、英国が戦後行った金融抑圧という方法で、金利をゼロにして、インフレを年率2%にして、30年先には、重みが半分になる。税収は倍以上になるので、全体的な重みからすると4分の1になる。国民は徐々に慣らされるので苦しみは少ない

しかし、現在は、このような計画でインフレ率を上げようとしているが、なかなか上がらない。

ということで、ハイパー・インフレのような急激な円安ではないが金融抑圧レベルのマイルドなレベルより、もう少し過激な方法で円安にしてインフレを作る必要があるようだ。

特に、日銀の量的緩和でも、円高が止まらず、このままにすると、インフレではなくデフレになり、国債の重みが増す方向になるので、どうしても円安にすることが必要になっている。

40年国債

このため、ヘリマネという方法が話題になっているが、政府の国債を直接、日銀が買い取ることでカネを供給しようとことであるが、国債の直接受け入れを日銀法では、禁止している。この日銀法を改正して、直接受け入れをするのは、歴史的な観点からも難しい。

そこで、40年国債を日銀が現在持っている国債と交換するという手を財務省が提案して、日銀がそれを検討しているのである。

このため、麻生財務相が、日銀黒田総裁との会談後、40年国債を作ると言ったのである。もちろん、金利はゼロである。一般にも売り出すが、金利はゼロである。相続税がかからないというメリットを付けるようである。一般に売り出すことが目的ではなく、日銀の国債を凍結するのが目的である。これで借り換えの国債発行がなくなるので、国債の販売量が少なくできる

このような40年国債発行でヘッジファンドがどう反応するのか、また、格付け会社がどう格付けをするのかが問題である。

そして、これを擬似ヘリマネということにして、円安になるかどうかである。円安になるが、これは日本から投資が逃げることになるので、日銀はETFなどの買いで株価の下落を止めるようである。

日銀総括の内容と日銀・財務省の合同作戦の概要はこのようなことになるのではないとみている。

さあ、どうなりますか?

image by: Drop of Light / Shutterstock.com

 

国際戦略コラム有料版』より一部抜粋

著者/津田慶治
国際的、国内的な動向をリアリスト(現実主義)の観点から、予測したり、評論したりする。読者の疑問点にもお答えする。日本文化を掘り下げて解析して、今後企業が海外に出て行くときの助けになることができればと思う。
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