魚の骨を飲んではいけない。医師が警鐘を鳴らす「魚骨性膿瘍」の恐怖

 

魚の骨と私

その後、琉球大学の医学生時代に魚の骨について教科書を調べても、「魚の骨を呑み込んだらどうなるか」ということに具体的な記載を見つけることはできなくなりました。しかし、沖縄県立中部病院の研修医となって、救急室での診療を担当するようになり、あの「魚の骨と再会することになりました。

魚を食べていたら急に喉が痛くなりました」という訴えで受診する患者さんのノドの中にいたのです。のどに刺さった魚骨の取り方について、先輩のレジデントから教えてもらい、「カンシ」と呼ばれる小さなハサミ状の器具で骨を取り除くと、患者さんからたいそう感謝されました。患者さんがよくなるのは、とてもうれしいことです。

その後、病棟担当研修医時代に、腹痛と発熱で原因不明の腹腔(ふくくう)内膿瘍の男性患者さんを担当することになりました。術前の超音波やCT検査では、膿瘍内になにか異物があるという疑いがありました。案の定、開腹手術で、あの「魚の骨」がみつかったのです。診断は「魚骨性膿瘍」で、膿瘍とともに長さ数センチの骨が除去され、治りました。このケースは1990年ごろに沖縄県の医学会で発表しました。正式な学会で発表したケースがこの「魚骨性膿瘍」でした。

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