賽は投げられた。東京五輪の巨額予算をめぐる小池知事vs森元首相の死闘

 

命がけのマラソン…

女子マラソンはロスオリンピックから始まった競技。記憶に新しい方もいると思うがスイスのアンデルセン選手が猛暑で熱中症となり、競技場をよろけながらも歩いてゴールした。競技場のトラック1周をゴールするまで5分以上要し、ルールで人の助けを借りると失格になるため大会委員も見守るだけで、一人でフラフラと歩く姿が全世界に中継された。なんとかスタンドからの大声援を受け見事にゴールしたが、非常に危険な状態であった。

安倍首相は「アスリートに最高のコンディションで臨んでもらう」とブラジルでの引継ぎの際表明したが、気温だけみても当時ロスの8月の平均気温は21.0度、一方、昨年8月の東京の平均気温は26.7度と5度も高い 。熱中症が出てもおかしくない

小池都知事のリーダーシップに期待

2007年8月に大阪で世界陸上が行なわれた際、男子マラソンは8月25日午前7時にスタートした。7時の時点の気温は27.8度で、ゴールした9時頃の気温は何と30.7度であった。結局、85選手のうち28選手がリタイアとなった。コースの途中にシャワーを用意するなどしていたが、この結果となっている。

2020年の東京オリンピックの男子マラソンは8月9日に開催される予定だが、参考まで今年の8月9日の気温を見ると午前7時で27.7度、そして午前9時には33.5度となっている。1日通しての平均気温は31.9度だったので、時間にかかわらず暑いといえる。日本体育協会のガイドラインでは、「31度以上は、激しい運動は中止」「28度以上でも、激しい運動は30分で休憩を取る」となっており、この基準にあてはめるとマラソンは出来ない。先に紹介した安倍首相の「アスリートに最高のコンティション」というのであれば、本気で考え直す必要がある。

上記から考えると、マラソンを東京ではなく北海道で実施するといったように場所を変更するか、オリンピック自体の開催時期をずらす必要があるように思う。財政面以外にも問題は山積しているので小池さんのリーダーシップに期待したい。

※なお、ブログにオリンピックの画像と文中で紹介した日本体育協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」の画像を掲載しておりますので、ご興味をお持ちの方は合わせて参照ください。

時代を読む

(TBSラジオ「日本全国8時です」8月23日音源の要約です)

image by: 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会

 

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