フェラーリがあえて行っていることとは
ただ、比較的簡単に差別化できる方法がないわけではありません。フェラーリがわかりやすい例になるでしょう。フェラーリは年間でわずか数千台しか製造販売しません。つくろうと思えばもっとつくることはできるはずですが、あえて数千台しかつくらないようにしています。
フェラーリには、需要よりも一台少ない数をつくるという社訓があるそうです。そうすることでフェラーリに希少価値が発生します。実際の購入申し込み者は生産台数の何倍にもなるため、売れ残るということはありません。
さらに、フェラーリというとなんだか製造コストが膨大にかかっているイメージがありますが、実際のコストは他の自動車メーカーと比べても低い水準にあります。独占企業のように供給量を抑えることで収益を最大化させることができるのですが、その大前提にあるのが差別化です。差別化されていないと他の事業者に真似をされてすぐに完全競争状態に陥ります。
しかし、フェラーリは差別化できているからこそ、独占企業に近い位置にポジショニングできています。フェラーリの差別化は高級スポーツカーというニッチな市場に特化している点にあります。トヨタや日産などが真似しようにも真似できません。
ところで、フェラーリのクルマとトヨタなどの他の自動車メーカーのクルマとの間にはどのような違いがあるのでしょうか。ここに差別化のポイントが隠されています。差別化するにはどうすればいいのかがわかります。