「空きっ腹だと酔いがまわる」のはナゼ? そのメカニズムとは

2016.09.09
by gyouza(まぐまぐ編集部)
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「空きっ腹では酔いがまわりやすい」という話をよく耳にしますね。実際にそういう経験がある方も多いでしょう。

でも、それはなぜなのでしょうか。また、なにかしら対策を行うことで、予防や改善はできるものなのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

空きっ腹で酔いがまわるメカニズムとは?

空きっ腹で酔いがまわりやすいのは、胃の中が空っぽの状態でお酒を摂取することによって、血液中のアルコール濃度が急に高くなるためです。

水を摂取した場合は、胃で一旦とどまりますが、その後少しずつ十二指腸に入り、次に小腸に入り、最後に大腸へと送られます。水は胃では吸収されず、腸で吸収されます。

お酒の場合は胃で約2~3割、腸で約7~8割吸収されます。胃の中に何か食べ物が入った状態だと、胃に入ってきたアルコールが腸に流れていくスピードが遅くなります。

逆に、胃に食べ物が入っていなければ、アルコールは急速に胃から腸へと送られ、吸収されます。
その後アルコールは肝臓に運ばれて分解されますが、分解する速度が追いつかず、分解できなかったアルコールは全身を巡ります。その結果、アルコールの血液中濃度が急に高くなり、「酔い」が通常よりも早くまわるのです。

胃に食べ物が入った状態でお酒を飲むと、血液中のアルコール濃度は飲み始めてから30分から1時間位経過した後、ピークに達します。一方で空腹時には、食後の3分の1の時間でアルコールが吸収され、肝臓に運ばれます。

またアルコールは刺激が強いので、空きっ腹にお酒を飲むと胃の粘膜が荒れてしまい、胃炎などの原因になることもあります。

お酒を飲む前にできる対策は?

先ほどお伝えしたように、空きっ腹でお酒を飲むことによって酔いやすくなるだけでなく、消化器官にも負担がかかります。そのため、何か胃の中に入れてからお酒を飲むようにしましょう。

空きっ腹の時には、食事やおつまみとして高タンパク質の食品を摂るようにしましょう。

タンパク質は、アルコールの分解に関わる肝臓を活性化させます。高タンパク質の料理には、チーズや枝豆、豆腐料理、肉料理、魚料理、卵料理などがあります。意識しておつまみに取り入れてみましょう。

ただし、摂り過ぎはエネルギーや脂肪の過剰摂取につながるので、注意が必要です。

酔いにくくする方法はある?

これまで見てきた通り、アルコールの分解を行うのは肝蔵です。その機能を高める栄養素としては、「タウリン」や「クルクミン」があります。

肝臓でアルコールを分解する際に、必要な酵素の手助けをするのがタウリンです。タウリンは、アルコールの分解の速度を上げ、肝臓にかかる負担を軽くしてくれます。

おもに牡蠣やしじみ、タコ、ホタテ、ヤリイカなどに含まれます。

クルクミンは、肝臓のアルコール分解機能を強化する作用があります。
ウコンやウコン茶、カレー粉などに含まれます。

ウコンを利用した商品などをよく見かけるかと思いますが、お酒を飲む前にこういった商品を取り入れるのも、ひとつの方法でしょう。

ただ、肝臓の機能を強化する作用があるといえども、お酒の量が多すぎるとカバーできません。お酒の飲み過ぎには注意しましょう。 

執筆:桜 イクミ(管理栄養士)

 

<執筆者プロフィール>
桜 イクミ(さくら・いくみ)
管理栄養士・健康運動指導士・フードスペシャリスト
株式会社 とらうべ 社員。病院での栄養管理・栄養指導の経験を経て、現在は企業で働く人の食と健康指導を行っている。

 

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