自己表現の力
「わからないことは聞く」
これは自己表現力とも解釈することができる。アメリカ人は(日本人に比べると)「自己主張が強い」と言われるが、彼ら自身はそんなことはまったく思っていないだろう。
今年、ドラフト2位で広島カープに入団した横山弘樹(宮崎日大高~桐蔭横浜大~NTT東日本)というピッチャーがいる。
以前、桐蔭横浜大の齊藤博久監督が、大学3年時のエピソードを教えてくれた。当時の桐蔭横浜大には、信頼できる2人の先発ピッチャーがいたため、横山がいくらブルペンでいい球を投げていても、出番は回ってこなかった。
3年秋、横山が行動に出た。
齊藤監督に、「監督、ぼくも投げさせてください!いつでもいける準備はできていますから!」と直訴しにきたのだ。
よっぽど自信があるんだなと感じた齊藤監督は、関東学院大戦で先発に抜擢した。9回2失点と文句なしのピッチングを見せ、チームはタイブレークで勝利をモノにした。
わからないことを聞く力と、本質的には同じなのかなと感じる。自分が思っていること、考えていることを、しっかりと口にして相手に伝える。伝えなければ、現状は何も変わらない。
ただ、これは監督の器にもよるので難しいところ。
この横山の行動に対して、「監督にそんなことを言うもんじゃない!」と叱ったコーチもいたという。起用法を決めるのは監督の仕事。その起用に注文をつけたのと変わりはない、という見方だった。
質問する相手、主張する相手を見極めることも、大事な力となる。
image by: 広島東洋カープ公式HP
『大利実のメルマガでしか読めない「中学野球」』より一部抜粋
著者/大利 実
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