あの「9.11」から15年。日本人が語る「あの日、私が見た異様な光景」

 

航空会社が用意したホテルへバスで移動できるというので、その選択肢をとる。単独行動を取ったとしても、にっちもさっちも行かなさそうだ。大型バスがやって来たので、促されるまま乗り込むと、私の元職場であるCNNのニュースが流れている。映像を眺め、それまでの情報が現実であることを知る。ブルックリンを見かけると、彼は席にしがみついたまま頭を抱えていた。

つぶれかけたようなホテルに到着。チェックインにも1時間はかかっただろう。暗くなった頃だったが、やっとホテルの部屋でくつろぐことができた。疲れ果てた。テレビを点けるともちろんどのチャンネルにもツインタワー崩壊の映像が流れていた。私は手に入れたビールを飲みながら、繰り返し流れるその映像を目にしいつの間にか自身も涙していた。その涙を止める術はなかった。

茫然としていた時間はどれほどだったろうか。しかし、ふとこうしてはいられないと考え始めた。私自身、ニュース関係者だった。ネットも通じなければ、連絡もままならない状況だったが、とにかくニューヨークに向かい現場を自身で目撃しなければと考えた。

ホテルのカウンターにかけあったり、レンタカー会社にかたっぱしから電話をするものの、グレイハウンド・バスを含めどれもソールドアウト。もちろん、飛行機は出ていない。最後に電話が通じたリムジン会社で20人乗りのリムジンなら運転手付で出すことができると言われる。いや、さすがにそれは予算オーバーだ…とブッキングを踏み止まろうかと思ったが、「いや、待てよ。仕事の都合でどうしてもニューヨークに入らなければならないようなビジネスマンも、このホテルに缶詰めになっているはずだ」。そう、ニューヨークにどうしても行かなければならない人たちを20人募れば割り勘でマンハッタンまで行けないことはない

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