陣痛から出産まで45分? あまりにワイルド過ぎるNY産婦人科事情

 

秒速しか許されない

さて、出産時は麻酔をしてポコッと産んだとしても、母体は大変負担があったはずです。そして麻酔が切れたら痛みもかなり出てくるに違いありません。日本だったら、出産後も母体が回復・安定するまで1週間ほどは入院するのが普通だと思います。

しかし、NYではそうはいきません。どんなに長く入院できても2日程度です。友人の奥さんも2日で退院させられました。病院側はできるだけ患者を病院に滞在させないギリギリのタイミングで運営しているというわけです。患者数が多くベッド数が少ないから仕方のないことなのかもしれませんが、あまりにもドライブスルー的でびっくりです。

生まれた後の展開もNYでは早いです。ある日、日本人の僕の知人がバーで飲んでいたら、赤ちゃんを腕に乗せてマティーニを飲んでいるアメリカ人女性を見かけました。赤ちゃんといっても、かなり小さい赤ちゃんだったそうです。

そこで知人はその女性に声をかけました。生後どれくらいか聞いてみたら、なんと8日とその女性は答えたそうです。8週間でも8ヶ月でもなく、8日ですよ! 生後8日の赤ちゃんを連れてバーになんて行って良いんでしょうか?そもそもNYの埃と排気ガスと喧騒の中に赤ちゃんを連れ出すこと自体、許されるべきではないのでは?と疑問に思いました。ワイルドすぎて怖い!

さらに、女性の社会復帰もNYは早いです。日本の産休制度では、身体に支障がなければ出産後6週間から就労することができます。産後に仕事にすぐ復帰するかどうかはその人の色々な事情で変わってくると思いますが、産後の6週間なんてかなり短い期間です。

日本ではよほどの理由で仕事をしなければならない限り、育児に集中するお母さんも少なくないと思います。しかし僕の研究
所を見ていても、産んだと思ったら即仕事に復帰している人たちを見かけます。
え?ちょ!ついこの間までお腹に赤ちゃんいたのに、もう働いているの?」と思ったことが幾度となくあります。

そして極め付けは、子離れもNYは秒速です。人によっては産後6週間程度で、デイケア(託児所)にあずけてしまうのだそうです。僕の感覚からしたら早すぎやしないか?とつっこみたくなります。

ここでは皆、産んだらすぐに「デイケア!」と騒ぎ始めます。何故そんなにすぐデイケアに預けたいの?と彼らに聞くと「赤ちゃんに社会性と独立心を身に着けさせたい」と返ってきます。生後6週間の新生児はママが必要や!社会性も独立心もあるかっ!っとつっこみたくなります。もちろん、物価や家賃が超高いNYでは共働きでないと生活が厳しい家庭が多いのも事実ですが、生後まもない赤ちゃんをデイケアに預けなければならない状況もいかがなものかと感じます。

ということで、話を聞いている限りでは出産から育児までのペースがめっちゃ早いNYです。せめて、お腹の中にいる長さは世界共通なので、ゆっくりとしたいものです。生まれたら秒速の道を通る僕達ですが、なるべく自分たちのペースを保っていきたいところです。

みなさんは、産婦人科での仰天体験はありますか?

 image by: Shutterstock.com

 

しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」

著者:しんコロ
ねこブロガー/ダンスインストラクター/起業家/医学博士。免疫学の博士号(Ph.D.)をワシントン大学にて取得。言葉をしゃべる超有名ねこ「しおちゃん」の飼い主の『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』ではブログには書かないしおちゃんのエピソードやペットの健康を守るための最新情報を配信。
≪初月無料/購読はこちらから≫

print

  • 陣痛から出産まで45分? あまりにワイルド過ぎるNY産婦人科事情
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け