習近平が李克強に報復開始。中国「ゾンビ企業」倒産に見る権力闘争

 

習近平は新シルクロード構想(一帯一路)とAIIBを、過剰生産のゾンビ企業の起死回生の策としたものの、たとえば鉄鋼などは日米欧などの先進国からダンピングを非難、阻止されて、まったくうまくいっていません。もはや国営企業を潰すしかない段階に来ているわけですが、まずは団派の地盤から行うことで、責任転嫁を狙っているふしもあります。

来年の秋には党大会が開かれ、そこで習近平が自分の思う通りの人事ができるかどうか、つまり権力を完全掌握できるか否かが決まります。現在、とくに中国の最高意思決定機関である党中央政治局常務委員の7人については、現在の江沢民派が引退し、代わりに団派が過半数を占めると見られており、習近平はそれを必死に阻止しようとしているとも言われています。

習近平には支持母体となるような派閥もなく、「操りやすい新米」だからということで、総書記に選ばれた経緯があります。自らを守るために習近平は汚職追放という大義名分で、上海閥を切り崩してきました。権力を一手に牛耳らなければ、中国政界では生き残れなかいからです。

習近平は太子党」(共産党幹部の子弟)とは言われますが、太子党はそれほど結束力が強くありません。権力やカネでつながりのある江沢民派のほうがよほど結束力があります。もちろん、江沢民派の太子党もたくさんいます。

そのために習近平はエリート集団の集まりである団派の協力を得て、江沢民派を攻撃してきたわけですが、胡錦濤派の令計画の逮捕や、共産党内に「小組」(委員会)を乱造して自らそのトップになり、経済問題でも李克強から実権を奪うなど、やりすぎたために、団派まで敵に回すような動きをしたために、かなり団派ともぎくしゃくしています

これから習・李連合がなんとか続くのか、それとも反習近平の江・李連合までいくのか。今後、来年の党大会までに権力闘争としての経済改革や政治改革が相次ぐと見られています。中国はすべてが「政治」です。ですから、今回の国有企業破綻も、さまざまな側面から考察する必要があるのです。

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黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』より一部抜粋

著者/黄文雄
台湾出身の評論家・黄文雄が、歪められた日本の歴史を正し、中国・韓国・台湾などアジアの最新情報を解説。歴史を見る目が変われば、いま日本周辺で何が起きているかがわかる!
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