北欧・スウェーデンのいち家具店から、世界最大の大型家具販売店へと成長した「IKEA(イケア)」。世界各国にあらゆる家具販売店が存在するにも関わらず、なぜイケアだけが世界的に成功をおさめているのか、その秘密は同店の経営戦略にありました。無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』の著者で店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんが、イケアのマーケティング戦略や商品戦略から、成功のカギを読み解いています。
イケアの世界戦略
世界最大の家具販売店として有名なイケア(IKEA)。スウェーデン発祥の企業で、世界各国に進出しています。
日本には1974年に進出するも1986年に撤退しました。しかし、2001年に再進出しています。
「より快適な毎日を、より多くの方々に」をイケアのビジョンとし、「優れたデザインと機能性を兼ね備えたホームファニッシング製品を幅広く取りそろえ、より多くの方々にご購入いただけるようできる限り手ごろな価格でご提供する」をビジネス理念としています。
「インテリアや家具のデザインにはこだわるが、価格は安さを求める」という消費者をターゲットにしています。
マーケティング戦略
イケアのマーケティングにおける考え方は「イケアが提供しているものをより多くの方に知っていただけるようにする」としています。
イケアブランドを確立し、消費者の来店意欲を高めるとしています。
イケアが重視している、消費者とのコミュニケーション手段は「IKEAカタログ」です。
IKEAカタログは毎年発行され、8~9月頃にイケアストアの特定の周辺地域で配布されます。総発行部数は2億部以上で世界最大級の出版物となっています。
カタログは非常に効率的、効果的なマーケティング手段といえます。ターゲット層を絞ったマーケティング展開を行うことができます。
顧客リストを元に配布することで、領域を絞って配布することができます。テレビCMなどのマス媒体と違い、無駄なリーチを抑えることができます。
チラシのポスティングに近いものがありますが、チラシでは伝えることができる情報量に限界があります。しかし、カタログであれば十分な情報量を伝達することができます。
IKEAカタログには趣向を凝らした仕掛けがあります。
例えば、カタログと専用アプリを連動することで、スマートフォンやタブレットの画面上でイケアの家具を画面を通した自宅の部屋に置くことができます。
商品が部屋のイメージに合うかどうかを画面上で確認することができます。
カタログはスウェーデンにある自社スタジオで制作されています。
マーケティング予算のおよそ7割をカタログに費やしているとも言われていることからも、イケアのカタログに対する力の入れようと期待効果を知ることができます。