東芝がリスクを全て負う契約…粉飾決算を招いたプットオプションとは?

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前回、「揺れる東芝、今度は不誠実な『原発問題』が追い打ち」という記事の中で中島聡さんが触れたプットオプションという株式用語。東芝の首を絞める原因の1つとなったこの契約、一体どういうものなのでしょうか。読者からの質問に中島さんがメルマガ『週刊 Life is beautiful』の中で答えています。

東芝とThe Shaw Groupが交わしていたプットオプションって?

Question

shitumon

先週のメルマガの、東芝が福島第一原発での事故後に Westinghouse Electric の株を買いましたことに関して「20%の株を持っていた The Shaw Group Inc. と東芝の間にはプットオプション契約があり、The Shaw Group はその権利を行使しただけだった」と書かれていましたが、プットオプションとは何か、そして、なぜ両社はそんな契約を交わしたのかに関して、もう少し説明していただけると助かります。

中島聡さんの回答

米国では、株の先物取引はオプションを使って行いますが、プットオプションとは、「株をある決まった価格で売る権利」のことです。それと反対なのが、コールオプションで、それは「株をある決まった価格で買う権利」のことです。

ベンチャー企業で、社員にインセンティブとして渡すストックオプション(Incentive Stock Option)は、常にコールオプションで、何年後かに現在の価格で株を買う権利を社員に与えておくことにより、株を買う資本力を持たない社員にも株価の上昇の恩恵を受けさせようというものです。

プットオプションは、逆に、株価が下がった時のリスクヘッジのために入手するもので、このケースでは、The Shaw Group が、Westinghouse Electric に共同出資した際に、東芝との間のプットオプション契約を結ぶことにより、(Westinghouse Electricの)株の価値が下がった際にも、損をしない価格(円建てで買値の50%増し)で東芝に売り抜ける権利を得ていたのです。

つまり、The Shaw Group は、表向きは東芝と同等の共同出資者でありながら、リスクはすべて東芝が負うような条件を付けた上で参加し、原発事故で業界全体の雲行きが怪しくなると、すかさずその権利を行使したのです。

こういう話を読むと、「だからアメリカのハゲタカファンドは信用できない」という反応をする日本人がいますが、このケースでは、最初の買収の際に、プットオプション付きでしか共同出資者を見つけられなかった東芝が問題なのです。

Westinghouse Electric の買収に関しては、当初から東芝が払いすぎだという指摘もありましたが、そんな「高値づかみ」をするから、共同出資者にプットオプションを要求されてしまったのです。

image by: flickr

 

nakajima 週刊 Life is beautiful
著者:中島聡
マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。
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