トランプ大統領の確定で、今後起きる大きな政策の変更
トランプが大統領になり、上院、下院でも共和党が過半数を占めると、民主党オバマの政策に、大きな変更が加わります。
(1)オバマケアの終焉・・・オバマ政権は、政府支出を増やして、日本の国民皆保険のような、医療保険にすることを目指していました。共和党が反対していたものです。無保険者が4700万人と言われます。
トランプが反対している、オバマケア政策は終わります。米国の医師も、診療費が減ると反対していました。
(2)TPP政策の終焉・・・米国は、産業のグローバル政策の一環として、TPPの国会批准を目指していました。わが国でも、政治問題になっています。特に農作物の、貿易自由化です(関税の制限)。
これも終わります。安倍政権は、どうするのか。
(3)FRBの金融緩和の停止・・・FRBは、3度のQE($4兆:400兆円)を維持しています。国債の満期が来ると、その分の国債を買い上げて、MBS(住宅ローン担保証券)の配当分も新たに、MBSを買って、残高を維持しています。
15年12月に、0.25%の利上げを行っただけなのです。08年以来の金融緩和は、持続しています。
トランプは、FRB議長のイエレンを「恥知らず」と断じて、首をすげ替えると言っています。実際に行うことはないでしょうが、「FRBの金融緩和の7年」は終わります。米ドルの金利は上がり、国債は下がって、ドル安です。円高になります。
(4)資源価格・・・資源価格も下がるでしょう。
(5)金価格は、ドル安に向かうとドル価格が上がります。しかし円高になるので、円価格はさほど上がりません。
金を買うことは、50%は円を売ってドルを買うことと同じです。
ポートフォリオで、ドルでヘッジされるのが、円で金買いです。
金価格はドルベースで決まるからです。
円安になって、ドルも下がれば、金価格は高騰しますが、円安の場合はドルが上がるので金価格は下がります。金価格上昇と、ドルの下落のどちらが大きくなるか、です。
(6)日米安保条約の見直し(廃止)・・・トランプは、日米安保条約が、米国が日本を守るだけの、片務条約と言っています。これは、憲法では交戦力がない日本に、軍国化の蓋をするものでしたが、廃止に向かう可能性も出てきます。
日本への米軍の展開の本当の目的は、日本を核の傘で守ることではない。米国の「前方展開」(海外に基地をもち、国内での戦争を防止すること)ですが、トランプはこれを理解していないようです。
image by: lev radin / Shutterstock.com
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著者/吉田繁治
東大フランス哲学専攻。経営と情報システムのコンサルタント。各社の経営顧問を歴任。戦略的システム開発でシステムデザインを担当。毎週届くメルマガの情報量は圧倒的で、その質・量ともにタイトルの「ビジネス書5冊を超える」の言葉に偽りなし。
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