日本、ロシア、両国にある「食い逃げ論」
日本の新聞を読んでいると、ときどき「食い逃げ論」が出てきます。何でしょうか?
つまり、「ロシアは経済協力だけ引き出して、島は返さないつもりだ!」
これ、そのとおりでしょう。逆にロシア側には、「日本食い逃げ論」があります。つまり、「日本は島だけ受け取って、経済協力は『フリ』だけなのではないか?」。
これも、そのとおりでしょう。日本は、島が欲しいので、経済協力は本音でしたくない。要するに、日本とロシアは、「利害が一致していない」ということです。
トランプ勝利で、ロシアは硬化する
それでも、ロシアは日本と交渉を続ける。欧米日による「制裁網」に穴をあけたい。もし日本とロシアの経済協力が大きく進展すれば、欧州も「日本はズルい!俺達も!」となるかもしれない。
そういう意図だったのですが、最近「状況を根本的に変える可能性がある」大事件が起こった。そう、アメリカ大統領選挙でトランプが勝った。トランプは、一貫して「プーチンとの協力が必要だ!」と主張している。そして、当選後、すぐ米ロ和解に動き始めています。
「対ロシア制裁」、主導しているのはアメリカです。だから、アメリカが制裁解除を決めれば、日本、欧州も当然追随して解除するでしょう。
原油は上がらないでしょうが、制裁が解除されれば、ロシア経済は一気に楽になる。そういう展望が見えてきたので、ロシアは日本に冷淡になってきたのです。
日本がロシアと和解するべき理由
ここまで読まれて皆さんは、「やっぱロシアは信用ならん。つきあうのはやめよう!」と思われるかもしれません。気持ちはわかります。しかし、日本には、ロシアと仲良くした方がいい大きな理由がある。
そう、中国は2012年11月から、「反日統一共同戦線」戦略でやっています。
骨子は、
- 中国、ロシア、韓国で、「反日統一共同戦線」をつくる。
- 中ロ韓、共同で日本の領土要求を断念させる。その領土とは、北方4島、竹島、尖閣・「沖縄」である(日本に「沖縄」の領有権はない!)。
- 「反日統一戦線」には、「アメリカ」も引き入れなければならない。
※ 必読原文はこちら:反日統一共同戦線を呼びかける中国
日本はこの戦略を無力化させるために、アメリカ・ロシア・韓国との関係を強固にしていかなければならない。
そう、ロシアとの関係は、「安全保障問題」なのです。北方領土返還も大事ですが、沖縄を守ることは、現状もっと大事ではないですか?