トランプ当選で大混乱のはずでは?なぜ今「円安・株高」なのか

 

トランプ氏は、「子供2人の家庭で35%の減税」「法人税は35%から15%まで下げる」と大胆な減税政策を主張しています。減税は、小さな政府を目指す共和党と、基本的に一致するので、まず実現するだろうと、専門家は分析しています。

現在、世界の法人税は、日本29.97%、イギリス20%、中国25%、ドイツ29.72%です。もし、本当にアメリカの法人税が35%から15%になったら多くの企業がアメリカに殺到することになり、アメリカの景気がよくなることは間違いないでしょう。

では、それに対し他国はどう対抗するでしょうか…。どの国も企業に去られたら死活問題ですから、多くの国が、法人税の引き下げ合戦をすることになると考えられます。その結果、世界中の多くの国が税収不足となり、国債を大量に発行して資金をつくるしかなく、益々借金体質なってしまいます。日本もそうなるでしょう。

また、トランプ氏は、「10年で1兆ドル(107兆円)のインフラ投資で2,500万人の雇用を増やす」とも言っています。この財源も国債発行に頼らざるを得ないわけで、財政が悪化し、国債を売るために金利を上げることになります。すでに、もう、その先取りで金利が上がり始めているのだと言います。こうして、世界的なインフレになるという予想が…。

さらに、トランプ氏は、「企業が海外で蓄積した利益をアメリカに戻すのであれば税金を10%軽減する」、そして、「海外に私益を貯めているアメリカの企業には課税する」という「本国投資法」を実行すると公言しています。この「本国投資法」が成立した場合、最低でも4,000億ドル(約43兆円)以上がアメリカに資金還元すると推測されています。

アップル、グーグル、フェイスブック、アマゾンといったITの主力企業等の多国籍企業がアメリカに回帰することを狙っているといいます。そうなれば、アメリカの国内経済は活性化し、雇用率は上がり、給料も上がる。住宅を購入する等で国内消費は上がる…。

こうして、まさに、ある瞬間、アメリカだけが潤うことになり、これこそ、トランプ氏の「アメリカ第一主義」に合致しているのです。

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