国語の読解問題で「本文をよく見ろ」と指導しすぎるのは逆効果な理由

 

今ちょうど小説読解をやっているわけだが、日々、こう声をかけ続けた。問題を解かせる直前に。「今から、答えが書けない人の特徴を言います。それは、いつまでも本文(本)とにらめっこしてる人です。ある程度確認したら、勇気を出して本を閉じなさい」

本文から目を離す勇気本を閉じる勇気。記述力を磨くには、これが必要なのだ。

読書感想文というのは、多くの場合レベルが二極化する。

1)あらすじオンパレード

2)大胆な解釈
1は、本を閉じる勇気のない子の末路。2は、本を閉じる勇気があった子の果実

ただし言うまでもなく、こうした言いかえをなし得るためには、語彙力が不可欠。先の例で言えば「疎外感」などという言葉が出るのかどうか。だから私は日々、自著を中心に使いながら語彙力を育成している。

特に、問題を解かせる前に意図的に、これから解かせる設問に関連した語彙を教えておくようにしている。

17:40から問題を解かせるならば、その答えに使うことになる言葉を、17:10の段階で『本当の語彙力』問題集などで教えておく。集中して取り組み、その言葉を30分間インプットできていた子は、その言葉を記述答案の中で見事にアウトプットして活用することができる。

こうして1授業の中で意図的に語彙力の定着を図る。30分後にアウトプットできなかった子も、解説の時点で「ああそういえばさっき習った~!」とあとで悔しがることになり、その場で定着度がワンランク上がる。

こうした仕組まれた授業を行うには、教師が意図的にリードする以外になく、アクティブラーニングなんぞをやっている場合ではないのである。

(この記事は、2016年12月4日のツイートを若干修正し、まとめたものです)

参照:「アクティブラーニングの3つの限界」

image by:  Shutterstock

 

著者/福嶋隆史

早稲田大学第二文学部を経て創価大学教育学部通信教育部卒業、公立小学校の教諭を経て、2006年より「ふくしま国語塾」を開塾。現在、ふくしま国語塾主宰兼、株式会社横浜国語研究所代表取締役。著書に『ふくしま式「本当の国語力」が身につく問題集』『「本当の国語力」が驚くほど伸びる本』(大和出版)等、全19冊・累計47万部出版。Eテレ「ニューベンゼミ(テストの花道)」等TV番組にも出演。有料メールマガジン『ふくしま式で文学・評論を読み解く!』も発行中。

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