紙のリサイクルのために様々な資源を消費するという「矛盾」
また、リサイクルの大きな欠点の一つが先回ご紹介した「拡散のエントロピー」の問題です。市中にある「古紙」は分散していますから、それをトラックなどで集めなければなりません。それに大きなエネルギー(石油を消費しやトラックのタイヤ、車体などが損耗する)がかかります。さらに古紙は再生するのに色を消し、紙の繊維(高分子)が傷んでいるものを補正し、化学薬剤を使い、再生紙にします。それでも1回か2回しか再生できないのが普通です。
この再生にまた膨大なエネルギーと資源、それに環境破壊を伴いますので、何のためのリサイクルなのかと思われます。
つまり、紙のリサイクルは、膨大な税金を使い、森林を破壊し、石油などの資源を浪費し、さらに環境を悪化させるもので、到底、「環境を改善する」とは言えないのです。では、なぜ、紙のリサイクルが日本社会にはびこったかというと、朝日新聞やNHKの「良い子報道」が続いて、紙をリサイクルすることは良いことだという錯覚を社会に植え付けたこと、さらに、ちり紙交換屋さんを追放した利権団体が膨大な税金をもらうことができるようになったためなのです。
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『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』より一部抜粋
著者/武田邦彦
東京大学卒業後、旭化成に入社。同社にてウラン濃縮研究所長を勤め、芝浦工業大学工学部教授を経て現職に就任。現在、テレビ出演等で活躍。メルマガで、原発や環境問題を中心にテレビでは言えない“真実”を発信中。
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