このように、中国政府と中国企業はかなり強引に対外インフラ建設を推進してきましたが、あまりに自分勝手で計画性もなく、札びらで頬を叩くようなやり方で進出していきながら、現地の雇用を生まず、利益優先で現地住民を奴隷化したり環境破壊を繰り返し、さらに採算が取れないとなるとすぐに放棄、撤退してしまうため、現地からは非常に嫌われているというのが実態なのです。
中国に対する嫌悪感が世界的に拡散している現状は、「シノフォビア(Sinophobia)」(中国嫌い)という言葉がよく使われていることからも理解できます。
2016年のイギリスのEU離脱、そしてトランプ大統領の誕生など、世界では脱グローバリズムの動きが加速しています。資本や人の自由な移動によって、外国企業に自国の産業が乗っ取られ、移民に職を奪われることへの拒否感が強くなってきています。
アメリカ独覇以降、グローバリズムが世界に拡散していくなかで、外資を取り込み急成長したのが中国でした。そして経済大国となった中国は、グローバリズムの波に乗り自国の資本力を武器に他国への影響力を強め、中国企業を進出させ、地元の雇用を奪い、現地の文化風習を無視して地域社会や環境を破壊し、文化摩擦を起こしてきたわけです。まさに中国および中国企業はグローバリズムの負の面をすべて体現していると言ってもいいでしょう。
脱グローバリズムの時代は、この迷惑な中国企業の拡散をいかにして食い止めるかということが、ますます大きなテーマになってくると思われます。