前者はアメリカ大リーグの「ピッツバーグパイレーツ」というチームの物語。このチームは万年弱小チームだったんですが、革命的な監督が採用したビッグデータの力で奇跡的な大躍進を遂げていきます。
例えば投手に何イニング投げさせたら肘が壊れるか、守備ではボールがどの条件下でどの場所へ飛ぶか、という事をデータから割り出しローテーションや人の配置を決めます。さらには通常は気付かない部分にデータを使った仕組みを使い、失点を減らし加点していきます。するとシーズンを通して確実に勝ち星が増え、さらには少ない戦力ながらビッグチームをも倒して行く、という実話に基づいたストーリーです。
一方後者はあの欽ちゃん(萩本欽一氏)率いる茨城ゴールデンゴールスの話。こちらは上記パイレーツが使っているような戦略を、データではなく欽ちゃん独自の「運の感覚」を使って行います。
例えば絶好調な打者がいて、その人が練習中から好調過ぎたらあえて本番前に休ませる。すると本番では貯めた力(運)があるから打つ。あるメンバーに彼女が出来たら、その人は彼女を作ることに運を使ったからきっと打てないだろうと欽ちゃんは思う(笑)。だからその打者が打席に入る前に「恋人を押しのける仕草」をアドバイスすることでいつも通りの力を発揮させる。などなど、欽ちゃん感覚でクラブを強くして行く話が詰まっています。
で、この2冊を読むとビッグデータと人が本来持つ運の感覚をなんとなく対比できて面白いんですよ。運は雲をつかむような物と思いがちですが、段々そうではない気がしてきます。それは確かにコントロールできるものです。
恐らく誰もが自分なりに「運ってこういうものだよね」という感覚があると思うのですが、その感覚を活字を読むことでハッキリと浮き上がらせることができるんですね。
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