京都には、琵琶湖の水量に匹敵するほどの地下水が湛えられている

 

梨木神社

梨木神社は明治18年に創設された比較的新しい神社です。ここには明治維新に貢献した公家の三条実万(さねつむ)と三条実美(さねとみ)父子が祭神として祀られています。

この辺御所の周り一帯には昔、公家のお屋敷がたくさんありました。しかし、明治になって天皇が皇居に移られてから全て東京に移され、梨木神社はその後に創建されました。そしてその場所にこの井戸が残っていたというわけです。

梨木神社は毎年9月に開かれる萩まつりで有名です。梨木神社の名前の由来は、この一帯はかつて「梨木町」と呼ばれていたからだそうです(現在は染殿町。神社に祀られている三条家の家紋は「梨華紋(りかもん)」で、梨に由来しています。

● 梨木神社ホームページ

醒ヶ井(さめがい)

市内中心部、四条大宮にある京菓子司にその井戸はあります。醒ヶ井とは元々「佐女牛井(さめがい)」という名前で、現在では碑が立っているだけになっています。堀川五条を少し下ったところにある東急ホテルの横にその井戸はあったそうです。

醒ヶ井は源氏堀川邸にあった名水と伝わります。室町幕府8代将軍・足利義政や千利休も利用したと伝えられている由緒ある名水です。しかし、残念なことにその後戦争で無くなってしまいました。

現在は同じ水脈である、和菓子屋の亀屋良長が店舗改装の折りに「醒ヶ井」と名付けて井戸を掘り直しました。亀屋良長はこの醒ヶ井の水を京菓子の全てに使用しているそうです。また、一般の方にも解放されているようです。

ここの銘菓は創業享和3年より販売されている「烏羽玉」です。黒砂糖とこし餡を練り固め、寒天でくるんだあんこ玉です。甘ったるさがしつこくなく、さっぱりといただけるお菓子です。京都人が大昔から水を大切にし、代々守って行く心意気が感じられます。

● 亀屋良長ホームページ

  • 所在地:京都市下京区四条通堀川東入北側
  • TEL:075-221-2005
  • 営業時間:9:00~18:00
  • 定休日:無休
  • 交通・アクセス:阪急京都線「四条大宮駅」下車

県井(あがたのい)

京都御所の西側にあり、京都御苑三名水の一つでもあるのが県井です。京都御苑三名水は、懸井(あがたい)、染殿井(そめどのい)、祐井(さちのい)です。
昔、県井の側に県宮(あがたのみや)という社があったようです。地方官吏(かんり)になりたいと願う人々がこの井戸で身を清め、宮に祈願し、宮中に参内したと伝えられています。江戸時代まで五摂家のひとつ一条家の屋敷があったところにあります。

県井の水は、明治天皇の皇后・一條美子(昭憲皇太后)のうぶ湯に用いられたと伝えられ、古くから名水とされてきました。井戸のまわりには山吹が咲き、後鳥羽院などの歌にも詠まれています。

長く枯れたままになっていましたが1997年に復活しています。非常飲料水として使えるように、水は浄化・消毒済みですが、「井戸水ですので飲まないように」とのことです。その昔、「大和物語」では病気を治す不思議な水と紹介されていたこともあったようです。今は名水だったという雰囲気だけを残して静かに佇んでいます。

  • 所在地:京都市上京区京都御苑3
  • TEL:075-211-6348
  • 交通・アクセス:地下鉄東西線「今出川駅」下車
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