ABCマート、成長神話に陰り。スニーカーブームは去ったのか?

 

ABCマートの強みはどこにあるのか?

シューズ業界では圧倒的な強みを誇るABCマートですが、その強みの源泉はどこにあるのでしょうか?

それは、ユニクロやニトリと同じSPAモデルといえるでしょう。SPAとは、自社で製品の企画から製造販売まで一貫して行うビジネスモデルです。

ABCマートでは、アディダスやプーマ、ニューバランスといったナショナル・ブランドNB)も取り扱っていますが、主力はヴァンズやホーキンスといったブランドの商標権を取得し、自社で商品を企画・生産・販売を行っているプライベートブランドPB)。また、ナショナル・ブランド(NB)も、どこででも買えるような商品ではなく、ABCマートでしか購入できないオリジナルの限定商品を先方の企業と共同開発することによって、靴のディスカウンターとの価格競争を避け値崩れすることなく販売することができるというのも強みといえます。

このように、国内外の有名ブランドの商品と自社オリジナルの商品を組み合わせて展開するトレンド発信型の高感度な業態は、SPAモデルの中でも特に『バイイングSPA』と呼ばれ、ABCマートはその最先端を行く企業といえます。

このSPAモデルでは、店舗で接客を通して感じ取った顧客のトレンドやニーズをすぐさま商品企画に反映させ、短期間で商品を生産し、店舗に投入することによってビジネスチャンスを逃さないというメリットもあります。

特にABCマートの場合は、毎日販売データで売れ筋商品を見極めているのはもちろんのこと、全社員が週に1回は必ず店舗で接客して数字には表れてこない生の顧客の声を収集しています。また、社長自らも月に2回は定点観測している都心の店舗があり、他にも2回は関東近郊の店舗に出向いて接客するなど、現場での情報収集を大切にしているのです。このようにして、社員全員が店頭に立って顧客とコミュニケーションを図ることで、なぜ売れたのかそして今後どのようなシューズが売れるのかが明確にわかるようになるというわけです。

ABCマートでは、店舗で収集した顧客情報を商品開発に活かし、SPAモデルのメリットを最大限活かして顧客のニーズに即した商品をいち早く投入することによって、顧客の心を掴み需要を創造してきたのです。

print
いま読まれてます

  • ABCマート、成長神話に陰り。スニーカーブームは去ったのか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け