さて、このようなアンゾフのマトリクスに基づけば、飽和したシューズ市場でABCマートが成長を持続するためには、一つには既存顧客に新製品を販売する新製品開発戦略を取ることができます。
たとえば、ABCマートの場合は、シューズと親和性のあるアパレルに進出するということも十分に考えられます。実際にABCマートはアパレルブランドであるユナイテッドアローズに出資していた時期もあるので、有名ブランドを買収してSPAモデルを導入し、事業ポートフォリオを拡大するという戦略も効果的でしょう。
SPAモデルでインテリア業界トップのニトリがアパレルの参入を検討していることを踏まえれば、同じファッションというカテゴリーにあるABCマートがアパレルに参入したとしても何ら不思議はないでしょう。
また、もう一つの新市場開拓戦略でいえば、日本のマーケットはすでに空白地が限られてきているため、海外進出を加速させるという手があります。実際にABCマートは海外進出を加速させていて、海外では韓国を中心に2016年11月末現在で227店とすでに多くの店舗を展開しています。
ABCマートの決算書を分析すると、現預金が1,000億円を超えて高い水準にあるので、資金を寝かせておくのではなく、新たな事業や海外進出など将来の成長に投資することによって、足踏みしそうな現状を打破し、再び成長路線を維持することができるのではないでしょうか。
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