ABCマート、成長神話に陰り。スニーカーブームは去ったのか?

 

成熟市場で成長を指向するためにはどうすればいいのか?

一方、シューズ市場も成熟し、ABCマートとしては増収増益を維持することは益々難しくなってきています。これまで、空白マーケットに出店して、店舗数の増加で増収増益を演出することができましたが、2016年末で国内の店舗数が910店舗に達し、目標とする1,200店舗体制に向けて出店余地はわずかになってきています

今後はこれまでと同じ戦略では、いずれは成長の壁にぶち当たることは火を見るより明らかです。

それでは、ABCマートは今後成長を持続させるためにどのような戦略を取るべきなのでしょうか?

その答えは「アンゾフのマトリクスというフレームワークで導き出すことができるでしょう。

アンゾフのマトリクスは、製品市場戦略とも呼ばれ、製品と市場を既存と新規に分けて企業が取るべき戦略を明らかにするものです。

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まず、企業の最初の取るべき戦略は、既存製品を既存市場で販売することです。これは市場浸透戦略と呼ばれます。この市場浸透戦略に成功すると、既存市場でのシェアが高まり、成長が鈍化していくことになります。

続いて、リスクをできるだけ低くして成長を指向するためには、2通りの考え方があります。

一つは、既存市場に新製品を投入していく戦略です。これは新製品開発戦略と呼ばれています。すでに取引のある顧客に新製品を販売するために、比較的に成功しやすい戦略といえます。

他方、既存製品を新市場で販売するという手もあります。これは、新市場開拓戦略と呼ばれています。この戦略もすでに成功体験のある製品を新たな市場で販売するということで、開発コストも必要ありませんし、リスクは低いといえるでしょう。

それ以外にも、マトリクスでいえば新市場に新製品を投入するという戦略も考えられます。これは、多角化と呼ばれ、既存の市場が飽和した時に、さらなる成長を目指すために取られる戦略の一つですが、まったく新たな市場に新たに開発した製品を投入するということで、成功はまったく未知数であり、前述した2つの戦略に比べればリスクはかなり高くなります。

もし、この多角化を選択せざるを得ない場合、ゼロから自社で始めるのではなく、すでに実績のある企業を買収するという手段を講じるとリスクの低減が図れるでしょう。

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