カリスマ投資家がカンブリア宮殿で語る「ブレイク企業」発掘の法則

 

ブレイク企業を発掘せよ~全国6000社を見極める極意

デパ地下でひときわ美味しそうな総菜を並べる「RF1」。運営するのは年商500億円に迫るロック・フィールドだ。

実はこの会社がまだ小さかった20年前、藤野はその将来性に気づき株を買い付けた。その後の急成長で株価は4倍。巨額の利益をたたき出した。

当時、訪ねてきた藤野のことを、岩田弘三会長兼社長は今も覚えていた。

「しっかりと現地を見て、うちの社員にヒアリングして、言いたいことも言われる。指導してもらったことは、今日の我々の基盤になっている。藤野さんが投資してくれたのはありがたいと思っています」

一方、かわいい雑貨や実用品が全て100円で買える100円ショップの「セリア」。最近都内でも急増、今や全国に1400店舗を構える。このセリアの株も、藤野はまだ知名度の低かった6年前に購入している。岐阜県で創業したセリア。現在の株価は藤野が買った当時の24倍に達するという。

河合映治社長は「期待を超えるからこそ株を買ってもらえる。最終的には6000店舗までいきたいと思っています」と語る。

そんな独自の観察眼で、藤野は全国に隠れる未来の大ブレイク企業を見分けてきた。この25年、成長を見届けた企業は膨大だという。分厚い資料の束は全て藤野が出会った会社のもの。その数は6000社。その中には、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長のような現在の有名経営者も。訪問した当時のユニクロは広島で上場していた中小企業。若き柳井社長は強烈な印象だったという。

「話の聞き方が、全身を耳のようにして聞かれているな、と。禅僧お坊さんみたいだと思ったんです。ただ者ではないなと思いました」(藤野)

藤野曰く、ずば抜けた成長を見せる経営者は会えば必ずわかる。だからこそ企業を回る努力でライバルに差をつける。ファンドマネージャーとしては珍しいそんなやり方を藤野が始めたのは、ある出来事がきっかけだった。

それはまだ大手投資会社にいた駆け出しの頃。当時、まだ中小の家具店だった大塚家具が東京の台場に巨大なショールームを作る計画を進めていた。藤野は、創業者である大塚勝久社長(当時)に魅せられ、投資を検討していたのだが、就任した青島幸男知事が、そのエリアで予定していた世界都市博を中止にしてしまう。

藤野の投資計画に誰もが異議を唱えた。開発がストップすれば、間違いなく台場はゴーストタウンになる。そんな場所のショールームに客なんて来るはずはない……。

藤野は迷い、開通したばかりのゆりかもめに乗って何度も足を運んだ。するとある帰り道、驚くような光景が対岸に広がっていた。それは東京の美しい夜景だった。

「湾岸の風景はロマンチックで、地域そのものが人気になると自分で感じた。結果的にオープンしたら大ブームになって、株価は3倍になりました」

そんな経験以来、藤野は自らの足で現場を回るようになった。

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