世界は投資でできている~カリスマが説く投資の薦め
ここ数年、増え続けている海外からの観光客。リタイア後のシニアの姿も少なくない。彼らに話を聞くと、海外への旅費は投資で儲けた金だという人も多い。一方、日本のシニアの老後の貯えは預貯金が中心。「家族が株や土地投資で失敗したのを見ているから、投資という考えにならない」と言う人も。家計金融資産に占める投資の割合は、日本の15%に対してアメリカは51%になる(日本銀行「資金循環の日米欧比較(2016)」より)。
リスクを取らず、堅実さを好む日本人。だが藤野はそんな日本人の価値観、いわゆる清貧の思想に疑問を抱いている。
ある日、東京証券取引所を訪ねた藤野は、講義を始めた。スクリーンに映し出したグラフは、投資に消極的な日本の家計資産がいかに増えていないかを示したもの。アメリカ、イギリスではこの20年間に家計金融資産が約3倍になっているのに対して、日本は1.5倍にすぎない。
実はこの講義を聞いているのは高校の教師たち。藤野は「学校の先生に伝えるということは、学校の先生を通じて子どもたちに伝えることができるということ。効率がよくパワフルだと思います」と語る。
藤野は「投資に消極的な日本人の価値観こそが社会に閉塞感を与えているのではないか」と考えている。このことについて、スタジオであらためてこう語っている。
「『投資は悪』『お金は汚い』と思う人が多いのはとても残念だと思います。なぜなら、僕らはすべて投資で成り立っているからです。株式投資も投資のひとつですが、このスタジオのテーブルも、誰かがどこかでリスクを取って工場を建て、従業員が作って、ここにあるわけです。僕らは誰かがリスクを取って投資をして作られたものによって成り立っているのです」
損するリスクを恐れず投資をしなければ未来は良くならない。藤野はそう信じて、自らも投資を続けている。
~村上龍の編集後記~
ファンドマネージャーには、最先端の情報器機を身につけ、世界を駆け巡り、莫大な資金を動かす「かっこいい職種」というイメージが、いまだにあるような気がする。
藤野さんは違う。事前にある程度の情報を得た上で、自分の足で全国をまわり、自分の目で投資適不適を確かめる。
「金があれば何でも買える」そんなことを言った人もいた。だが、信頼は金では買えない。
藤野さんが組むファンドは、信頼がベースになっている。
投資で重要なのは、未来の価値を見極めることだ。だから、投資は、ときとして「希望」と同義語となる。
<出演者略歴>
藤野英人(ふじの・ひでと)1966年、富山県生まれ。早稲田大学法学部卒業後、野村投資顧問(現野村アセットマネジメント)入社。1996年、JPモルガン・アセット・マネジメント入社。2000年、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント入社。2003年、レオス・キャピタルワークス創業。
source:テレビ東京「カンブリア宮殿」