ロックフェラー氏の死去で終わった「陰謀論」と「アメリカの時代」

 

デイヴィッド・ロックフェラーの経歴

デイヴィッド・ロックフェラーさん、どんな経歴なのでしょうか?

1915年6月12日生まれ。おじいさんは、スタンダード・オイル創業者で、「石油王」「世界一の金持ち」と言われたジョン・ロックフェラー。父親は、ジョン・ロックフェラー2世。デイヴィッドさんは、5男1女の末っ子でした。

1936年、ハーバード大学卒業。その後、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)で修士号を取得。さらに、シカゴ大学で経済学博士号を取得。

1946年、チェース・ナショナル銀行に就職。1969年~1981年、チェース・マンハッタン銀行・最高経営責任者(チェース・マンハッタン銀行は1955年、バンク・オブ・マンハッタンとチェース・ナショナル銀行が合併して誕生した。現在は、JPモルガン・チェース銀行)。

デイヴィッド・ロックフェラーは、銀行マンだった時代世界中に人脈を構築していきました。また、世界の政治に深く関わってきた。たとえば、アメリカでもっとも影響力があるといわれるシンクタンク「外交問題評議会」。1949年、史上最年少34歳で、理事に選出された。1970年~1985年、議長。その後、名誉会長。

1973年、ブレジンスキーと共に「三極委員会」を創った。世界の超エリートが年に一回集結する「ビルダーバーグ会議」に初回(1954年)から参加していた。これらは、全然秘密でも陰謀論でもなく、デイヴィッド・ロックフェラー自身が『ロックフェラー回顧録』で書いていることです。

もちろん、自分で自分の本を書けば、「美しく書く」に決まっていますが、知らない事実が後から後から出てきて、とても面白いです。是非ともご一読下さい。

本当に興味深い本ですが、もっとも面白いのは、彼が「陰謀論者への反論」を書いている部分でしょう。引用してみます。

なかには、わたしたちがアメリカの国益に反する秘密結社に属していると信じる者さえいる。そういう手合いの説明によると、一族とわたしは「国際主義者」であり、世界中の仲間たちとともに、より統合的でグローバルな政治経済構造を、言うなれば、ひとつの世界を構築しようとたくらんでいるという。もし、それが罪であるならば、わたしは有罪であり、それを誇りに思う。
(『ロックフェラー回顧録』下巻)

デイヴィッド・ロックフェラーは、「『一つの世界をつくろうとしてきたしそのことを誇りに思っている」と。

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