習近平も頭を抱える、中国で美化されつつある「中華民国」時代

 

例えば先月下旬、民国時代に刊行された小学生用の国文や修身の教科書が上海の出版社から復刻されたが、それが全国の書店で陳列された途端に一気に売り切れとなって、各界から絶賛の声が上がった。今から約90年前に編纂(へんさん)された民国時代の教科書が再び歓迎されたことは、現在における民国神話の根強さを示すと同時に、共産党政権下で編纂された今の教科書がいかに不人気であるか、ということを証明している。

同じ今年2月、山西省太原市の地元紙、発展導報の記事によると、太原市の育英中学校という有名な進学校が1億元(約17億円)以上を投じて新校舎を建設し、それが完全に懐古的な「民国風建築」として設計されているという。今の中国で「民国風」と言えば、それはすなわち典雅や上品のイメージである。

今月にはこんな出来事もあった。雲南民族大学の4年生が校内で民国時代の学生服や知識人の服装を身につけ卒業記念写真を撮った。彼らはわざと、現代のカラー写真ではなく、いかにも民国風情のモノクロ写真を撮ってそれをネットで流したが、直ちに全国で大反響を呼んだ。

民国風に憧れているのは若者だけではない。今月3日に広州の新快報が流したニュースによると、広東省東莞市で、数十人の高齢者が民国風の優雅な正服に身を包み、民国風の化粧も施して、「人生最後の記念写真」を撮らせたという。おそらくこれらのお年寄りにとって民国の古き良き時代こそ自分たちの人生の最後に帰依するところではないのか。

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