習近平も頭を抱える、中国で美化されつつある「中華民国」時代

 

このようにして、民国時代は今、多くの中国人にとっての憧れの古き良き時代となっている。共産党の習近平政権からすればまったく面白くない。民国時代が古き良き時代であるなら、民国政府を転覆させてこの良い時代に終止符を打った共産党の革命とは何だったのか、との疑問は当然出てくるからだ。それは、中国共産党政権の正統性を根底からひっくり返すような危険性を持つものである。

習政権が今になって「民族の偉大なる復興」のスローガンを持ち出したのもある意味では、このような民間の思潮への対抗が目的の一つだ。「自由と繁栄の民国時代」を凌駕(りょうが)するために共産党は「強大なる中国」を演じてみせる以外にない。

そのために、対外的帝国主義政策を推し進めることによって、民国時代以前の中華帝国の回復を図っていくことは、まさに習政権の宿命的な至上課題となっている。

われわれ周辺国家にとって迷惑千万な話である。

 

 

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誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考。来日20年。満を持して日本に帰化した石平(せきへい)が、日本人が、知っているようで本当は知らない中国の真相に迫る。

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