森友学園騒動で議論を避けられた「戦前回帰」の重い空気

 

それより、産経新聞は「教育勅語」を道徳の教材として使うことについて、どう考えるのか。これまでの論調では、教育勅語を社として肯定しているかのようにも読み取れる。

「阿比留瑠比の視線」なる記事(3月13日)にこういう記述がある。稲田防衛相の教育勅語についての肯定的発言を毎日新聞が批判的に書いたことに言及したものだ、

わざわざ連合国軍総司令部(GHQ)の占領下で、その意向に従わざるを得なかった時代の決議を持ち出して、教育勅語を否定しようとしている。確かに教育勅語には「法律や、秩序を守ることはもちろんのこと、非常事態の発生の場合は、真心をささげて、国の平和と安全に奉仕しなければなりません」という部分もある。だが、これも基本的人権を損なうような過激な主張だとは必ずしも思えない。(中略) そもそも政府は、教育勅語を学校現場で用いることに特に問題はないとの見解をすでに示しており、閣僚の一人としての稲田氏の答弁は何もおかしくない。

執筆者である論説委員兼政治部編集委員、阿比留瑠比氏もまた、マスコミにおける安倍親衛隊として著名な人物だ。勅語の「万一危急の大事が起こったならば、大義に基づいて勇気をふるい一身を捧げて皇室国家のためにつくせ」のくだりを「真心をささげて、国の平和と安全に奉仕しなければなりません」にすり替える神経がどうかしている読者を馬鹿にしてはいけない

こうしてみると、安倍シンパの自民党、維新、マスコミ人が総がかりで「殿」の危急の時に立ち上がり、なりふりかまわず「敵」に見立てた相手を潰しにかかっているような感じさえ受ける。

些末な発言の食い違いを追及するヒマがあったら、情報を隠蔽しようとする財務省や国交省に説明責任を果たすよう強く働きかけるべきだし、「教育勅語」についても、本質的な議論をすべきであろう。

image by: Wikimedia Commons

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