中国と朝鮮半島との関係は、少なくとも歴史的には統一新羅以来、ずっと宗属関係にありました。現在の中国では、朝鮮半島は一つの国であるよりも、多くの国々に別れていたほうが利用価値が高くなっています。
現在の中国にとって、番犬としての北朝鮮の利用価値がなくなったとき、厄介者になるのは必然です。朝鮮半島が多くの国に分裂していれば、一つの国を支援することで、他国を牽制することもできます。一時的に中国と韓国が蜜月関係になった時期がありますが、そうやって利用することができます。
これまで朝鮮半島は、近現代史のなかで、英・仏・米・日・清・露との間で、力関係を利用しながら、清の朝鮮省や露の沿海州への編入を避けてきましたが、「東洋の永久平和」という大義名分のもとで、列強は新興勢力の日本に「日韓合邦」を押し付けました。「ノー」と言えない日本は、いやいやながらもこの厄介者と関わるようになったのです。
現在は北と南に別れていますが、米露日中のどこが「火中の栗」を拾うことになるのか、非常に気になるところです。
韓国の大統領選は、はじめは最大野党「共に民主党」の文在寅が独走状態だったのですが、最新の世論調査では第二野党「国民の党」の公認候補・安哲秀が文を初めて支持率で追い抜きました。アメリカの対北朝鮮の実力行動によって、朝鮮半島はまた情勢が変わってくるでしょう。
● 安哲秀氏、支持率トップに 対北制裁継続主張、左派・文在寅氏を初めて追い抜く
北の金正恩体制は、アメリカに対する反撃能力はなくても、韓国や日本を襲撃する可能性が高まってきています。戦後日本は、冷戦があっても、目下のサイバーウォーがあっても、「無風状態」が続いてきました。しかし、世の中はそれほど甘くはありません。
日本にとっては、グローバリズムが消えつつある現在、その対応力が問われる新しい時代が到来しようとしています。国会での政争ごっこやマスメディアの政権批判は相変わらずですが、少なくとも憲法前文に謳われているような、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、安全と生存を保持する」ことが可能な時代ではありません。
日本人は、もはや予想外、想定外のことで「ショック」を受けることさえ、許されない時局を迎えつつあるのです。