今年3月、国連安保理のシリア化学兵器関連制裁決議案について、中国はロシアとともに拒否権を行使して廃案に追い込みました。
● ロ中が拒否権で廃案 安保理のシリア化学兵器関連制裁決議案
その中国が、今回のトランプ大統領のシリア攻撃を「理解を示した」というのですから、かなりの譲歩でしょう。それだけ、トランプ大統領と正面衝突したくなかったということです。
アメリカ側は、米軍の航行の自由作戦を強化する方針も習近平に伝えています。そして太平洋軍のハリス司令官は8日、原子力空母カールビンソンを中心とする第一空母打撃群を朝鮮半島に派遣しました。
2016年7月、アメリカの共和党は政策綱領に初めて、台湾に対する「6つの保証」が盛り込まれました。この「6つの保証」とは、
- 台湾への武器売却の期限を設けない
- 台湾への武器売却について中国大陸と事前に協議を行わない
- 台湾と大陸間の調停を行わない
- 台湾関係法の改正に同意しない
- 台湾の主権に関する立場を変えない
- 北京当局と協議するよう台湾に圧力を加えない
というものです。
今回のトランプ・習近平会談でも、台湾ではこれに抵触するような発言が中国側から出ないか注視していましたが、とりあえず、そのようなことはありませんでした。台湾政府の報道官も、「台米間には想定外のことはゼロ」としています。
● 台米間には「想定外ゼロ」=総統府 トランプ・習会談閉幕/台湾
となると、やはり中国には成果と呼べるものはなく、アメリカからさまざまな要求をつきつけられただけだということになります。
ここまでアメリカにやられっぱなしでも、習近平としては首脳会談は「成功」だと主張しなければならなかったわけです。もっとも、こうしたことは今回に限りません。
2015年8月、習近平は訪米してオバマ大統領との首脳会談が行われましたが、中国側が求めた習近平の議会演説をアメリカ側は拒否し、両者は目を合わせることもほとんどなく、習近平に対するアメリカ側の冷遇ぶりが目立っていました。
にもかかわらず、中国メディアはこのときの米中首脳会談も「大成功」だと礼賛していました。ところが首脳会談からわずか1ヶ月後、アメリカは南シナ海で航行の自由作戦を発動して中国を牽制するようになったわけです。