——そんなサタニズムですが、ざっくりと言えばどういった教えなんでしょうか?
高橋:ものすごく大雑把に言えば「宗教などに頼って思考停止するかわりに、自分の頭で考えて自分の足でしっかり立て」というようなことです。そう言えば、あまりヘンテコなものでもないということがお分かりいただけるかと(笑)。
ただ、アントン・ラヴェイという人は稀代のトリックスターでもあって、わざと刺激的な物言いをして人々を怒らせたり、スキャンダラスな話題を振りまくことが大好きでした。だからサタニズムはよく誤解されるんですが、そもそもラヴェイがそういう誤解を楽しんでいたわけですから、まあもうそれは仕方ない。
——日本でもあまり馴染みのないものですから、高橋さんはそれを信奉されていると公表することで、やはり誤解されることが多いんじゃないでしょうか?
高橋:意外とそうでもないですよ。とはいえ、ラヴェイ先生に倣って、誤解されてるときはその誤解を助長するような返事をしたいものだと思ってますけどね。「ええ、悪魔を毎晩拝んでます」とか(注:サタニズムでいうところのサタンは自分自身を象徴するもので、外的な、あるいは霊的な存在は一切認めていません)。「子供を生贄にするんですか?」と聞かれたら「毎晩食ってます!」と言いたいところです。だってそう言った方が面白いですもんね。ちなみにサタニズムでは子供を大変かわいがることになっているのですが、それは子供の方が獣に近いからです(笑)。実際に子供を虐待してるのはカトリックの変態神父たちですよね!
——そうですか(笑)。ちなみに、もしサタニズムについて興味を持ったとして、その世界の一端に触れたいと思った時に、入り口になるような書籍や映画の作品があれば、教えていただきたいんですが……。
高橋:そうですね、チャーチ・オブ・サタンが関わった映画はいくつかあって、劇映画だと『魔鬼雨』(注:これにはラヴェイ先生も出演しています)なんかが有名ですが、基本的に冗談でやっているので『魔鬼雨』の描写を本当だと思ってはいけません。ドキュメンタリーでは『サタニス:悪魔のミサ』という、チャーチ・オブ・サタンのミサの儀式を収めた映画もありますが、これもわざとおどろおどろしいイメージで作っているので(笑)、観たからといってあまり参考にはならないかもしれません。
なので、サタニズムについてはやっぱり『サタニック・バイブル』を読むのが一番です。ただ残念なことに邦訳がないので、機会があればなんとか出版したいと思っています。あと日本語の書籍ではブランチ・バートンという、現在チャーチ・オブ・サタンの代表でもある人が書いた『悪魔教』という本が邦訳されているので、それを読んでいただければ大体の感じはわかると思います。