Windows95の設計に携わり、「右クリック」「ダブルクリック」などを開発した世界的エンジニアである中島聡さんが、自身のメルマガ『週刊 Life is beautiful』で、ヤマト運輸とDeNAの次世代物流サービス「ロボネコヤマト」について、エンジニアの視点から持論を展開しています。このサービスは、将来的に自動運転を利用して「無人で動く宅配ロッカー」のようなものを目指しているという未来型プロジェクトですが、自動運転車の世界事情にも詳しい中島さんの見解とは?
私の目に止まった記事
● 自動運転社会を見据えた次世代プロジェクト、ロボネコヤマトで毎日をもっと便利に
ヤマト運輸が DeNA と実証実験を始める、無人配送車の紹介です。まだ、技術的にも法的にも完全な無人運転は不可能なので、とりあえずは運転手付きで行う実験だそうですが、最終的には、 無人で動く宅配ロッカーのような形を目指すようです。
流通において、業界では宅配の部分を(通信業界と同じく)「ラスト1マイル」と呼びますが、今やここのコストが大きな問題になっています。
今年になって、ヤマト運輸はアマゾンの当日配送サービスの受託から撤退する方針を決めましたが、オンライン・ショッピングの拡大に伴うニーズの上昇と、寡占化に伴う価格圧力が同時にかかっている上、そこに(少子化と肉体労働の不人気による)人手不足が重なり、結果として過酷な労働環境、残業手当の不払い等の問題が起こっています。
これに関しては、アマゾン自身も大いに危機感を持っており、ドローン、宅配ロッカー、Uber 型の配送など、様々な実験を繰り返しています。
今回のヤマト運輸の実験を見て感じたのは、「もしロボットによる配送が可能ならば、アマゾンは外部の業者など使わないだろう」というものです。
インフラビジネスは「規模の経済」が大きくものを言うので、もしヤマト運輸が本当に危機感を持っているのであれば、もっと視野を広げて、大きなインフラ作りをすべきだと思います。