だから尊敬される。イチローに学ぶ「真の完璧主義」とは?

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ビジネスシーンにおいて、「完璧主者」という言葉は必ずしも褒め言葉とは捉えられません。「よし!」と納得できるまで行動に移せない完璧主義者は、ビジネスの世界では「行動が遅い人」とも言えるからです。今回の無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』では、そんな「完璧主義者」について、谷原弁護士がメジャーリーガーのイチロー選手や米国Appleのスティーブ・ジョブズを例に上げつつ自論を記しています。

時の流れが重要です

こんにちは。弁護士の谷原誠です。

皆さんは「完璧主義者」と聞いて、どのようなイメージを持ちますか?

ビジネスにおいて、完璧主義者と言われている人は、自分が行う仕事の完遂されたイメージを常に頭の中に持ち、その状態になるまで、細心の注意を払いながら仕事を進めます。そして、出来上がりに妥協せず、納得がいくまで良しとはしません。そういった姿勢は、プロとして必要な資質であると思います。

しかし、ビジネスの世界では、完璧主義者は必ずしもプラスの資質と語られるわけではないのも事実です。仕事が完璧に成功すると確信しない限り始めない、というような場合です。

たいていの仕事は、最初に考えていた計画通りには進みません。事業が想定通りの結果を生むことも、ほぼありません。計画を精緻に組み立てても、予定していなかったことが必ずといって良いほど起こります。

ソフトウェアの分野を例にするとわかりやすいでしょう。WindowsなどのOSやアプリケーション等のソフトウェアは、リリース後、脆弱性などの修正、機能面の更新を日々繰り返します。そして数年程度で「1.0から2.0」といった具合に、根本的なバージョンアップを行います。

ソフトウェアは新しい環境に合わせ、改善したり、機能を追加したりすることを予定してリリースされています。つまり、開発者は「ソフトに完璧はありえないということを前提に仕事を行っているといえます。完璧主義のスティーブ・ジョブズが作ったiPhoneもアップデートしています。

あらゆる仕事は、走り始めるからこそ改善点が見えてくるもの。完璧でなければ行動しないという姿勢では、何もできないことになります。行動を阻むような完璧主義は、やはり間違いと言わざるを得ません。

 

しかし、完璧主義の考え方が、成功することの妨げになるだけなのかというと、それは違うでしょう。たとえば、メジャーリーグのイチロー選手。彼は、理想とするプレイ、選手像のイメージを持ち、それを追求するため、一つ一つのプレイや日々の鍛錬で妥協を許しません。その姿勢はまさに「完璧主義者」です。

ソフト開発でも、スポーツでも、一流の人や企業が目指すのはその時の完璧」です。完璧に近づくために最善を尽くしたかどうかは、自分そこがよく知っています。「今、この瞬間」を完璧主義的に行動しなければ、単なる妥協であり、後悔することになります。今すべきことを完璧に行うことの積み重ねが、結果として誰にもまねできない到達になります。

時間軸を変えてみると、「一流」といわれる人物は、ビジネスパーソンとして、技術者として、スポーツ選手として、キャリア全体を通して、ひいては人生を終えるまで完璧を目指しています

一生をかけて完璧を目指す人こそ、尊敬に値する人物だといえるでしょう。

「自分を客観的に見て、やるべきことをやります。それは、どんなときにも変わらないものなのです」(イチロー)

今回は、ここまでです。

image by: Keeton Gale / Shutterstock.com

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【著者】 谷原誠 【発行周期】 不定期

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