「行政の歪み」の正体
【東京】は1面トップで共同通信の世論調査結果を伝えている。関連記事は2面、調査の詳報が6面に。見出しから。
1面
- 加計説明「納得せず」73%
- 内閣支持率 急落44%
- 67%が「共謀罪」採決批判
2面
- 政府4条件 揺らぐ根拠
- 加計問題 獣医学部16大学など抗議
- 獣医師偏在 東海・九州でも不足
uttiiの眼
共同通信の世論調査結果のうち、《東京》が見出しに選んだのは、「加計説明『納得せず』73%」というもの。ここに支持率下落の決定的な理由があると読んでのことだろう。
他に、6面掲載の調査結果で注目されるのは、不支持の理由のトップが「首相が信頼できない」で41.9%であること。前回調査よりも4.5ポイント上昇している。
2面の解説記事「核心」は、1面に対応して、加計学園問題の最新の局面。「総理のご意向」などと記した文書類の存在が確認された以上、次に、その内容の吟味に入らなければならないのは当然だ。《東京》は、安倍政権が2年前に閣議決定した「獣医学部新設のための4条件」を加計学園のケースでは満たしているのか否かに話を進めている。
まず取り上げられているのは、山本幸三地方創生相の発言とそれに対する獣医学会などの批判について。山本大臣は「長年新設を認めなかったので、獣医学部の質は落ちている」とし、「4条件」を意識して、「新たな需要に対応できていない」とまで述べた。だが、4条件の1つ「既存の大学・学部では対応困難」についての加計学園の提案書は「何が斬新なのかが見えない。ライフサイエンスなどは既存大学で当然やっている」(北海道大学の稲葉教授)し、4条件は、新たに対応すべき具体的な需要を明らかにするよう求めているのに、審議の場で具体的な数字が示された形跡はないと。
さらに、獣医師の需要については、ペットも家畜も全体の頭数が減少する中、獣医師の数は増えていて、問題は「産業動物獣医が少ないという職種の偏在」、「四国に少ないという地域的偏在」という“2つの偏在”。だから四国に新設をという話だが、2020年の予測で、四国以上に東海や九州で獣医が不足するという。しかも、四国に大学を作っても四国で就職するとは限らない。四国に限ることには意味がなく、また、産業動物医の処遇改善が行われなければ偏在は解消しないと。
つまり、国家戦略特区を使って加計学園の獣医学部を新設することは、「岩盤規制」なるものにドリルで穴を開けることに譬えられるべきではなく、滞っている政策に弾みを付ける効果さえない。そもそも課題の捉え方に問題があるということになろうか。
さて、そんな特区構想を無理に推し進めようとした理由はどこにあったのか、誰がそうしたいと考えたからなのか、それはなぜなのか。いよいよ、「総理のご意向」を巡る議論が可能になってきた。
あとがき
以上、いかがでしたでしょうか。
結局、受け皿がないというのが最大の問題なのでしょうか。加計学園の問題についての説明も、「共謀罪」法のゴリ押しについても有権者の反発は非常に厳しいものがあるというのに、それでも、その反発が、ストレートに安倍内閣に対する支持の撤回に結びついているとは言えない状況を見ると、そんなふうに考えたくなります。
かなりきつい閉塞感を感じてしまいます。
image by: 首相官邸