実は赤字の1000円カット「QBハウス」。NY進出は吉か凶か?

 

さて、「短時間、低価格」で成長してきたQBハウスですが、アメリカ進出は成功するのでしょうか。

QBハウスの売りの一つは低価格」です。日本では低価格帯の理容室や美容室は少なかったため、低価格帯の市場を狙う形で成長することができました。今では低価格帯で似たような理髪店を散見するようになりましたが、QBハウスがパイオニアとなって市場を切り開いていったと言っていいでしょう。

しかし、アメリカではQBハウスは低価格帯でのパイオニアにはなれません。低価格帯の理髪店が多数存在するからです。例えば、14ドル(約1,500円)程度の「グレート クリップス」は北米で4,100店以上を展開しています。20ドル(約2,200円)程度の「スーパーカッツ」は2,700店以上を展開しています。14ドル程度の「ファンタスティック サムズ」は1,000店以上を展開しています。

アメリカでは低価格帯のチェーン店が幅を利かせている状況です。その中に割って入るのは容易なことではありません。ニューヨークでは低価格帯のチェーン店は少なく、マンハッタン地区となるとほとんどありませんが、それは採算が取れないから参入していない、または撤退したという側面があるからです。低価格の理髪店が求められていないがための結果の可能性があります。

ただ、マクドナルドが日本に進出した際に、銀座に1号店を構えて成功したように、QBハウスはニューヨークの中心地に1号店を構えることでブランド価値と認知度を高めその勢いを借りて店舗網を広げていくことで成功するということは十分ありえます。

キュービーネットが価格戦略をどのように考えているのかはわかりませんが、成功するためには価格戦略が重要な位置を占めることになるでしょう。地価が高い立地では20ドル程度にして、そうでない場所では10~15ドル程度にするといった戦略を採用する可能性があります。全店を20ドル程度で統一する可能性もあります。

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