他にも課題はあります。大きな課題となりそうなのが人材を確保することとカット技術を確保することです。日本ではカット経験がない人やブランクがある人を育てる研修プログラムを確立するなど、高いカット技術を保持する従業員に育て上げるための体制が整っています。そういった体制をアメリカでも構築できるかが成功のカギとなりそうです。
懸念もあります。キュービーネットの稼ぐ力が低下していることです。例えば、2012年6月期の売上高は116億円、営業利益は10億円で、営業利益率は8%を超える高い利益率を誇っていました。しかし、持株会社となったキュービーネットホールディングスの2016年6月期の売上高は140億円、営業利益は4億9,700万円で、営業利益率が3.5%と低い水準です。売上高は増加しているものの、営業利益率が下がっているのです。
また、2016年6月期の純損益は4億5,900万円の赤字を計上しています。営業外費用で2億円、特別損失で4億6,700万円を計上しています。利益剰余金は11億円のマイナスとなっています。原因と理由はわかりませんが、利益率が低い状態が続き、不要な損失を計上していくようであれば、アメリカで出店網を広げている場合ではなくなる可能性があります。
こうした状況もあり、QBハウスのアメリカでの挑戦は簡単なものではありません。ただ、勝負はやってみなければわかりません。もちろん、成功することも十分ありえます。今後の動向に注目したいところです。
『女子大生のハンバーガー店経営物語』
(クリエイションコンサルティング)