なぜウルトラマンは今もなお世代を超えて愛され続けるのか?

 

特撮の神様・円谷英二

円谷英二氏特撮の神様と呼ばれ薫陶をうけた職人たちが寝ずに頑張って特撮に工夫を重ねていった。着ぐるみのウルトラマンと怪獣が25分の1のセットで戦う映像をとるわけだから大変な現場だった。

怪獣の新しいデザイン作り、怪獣が暴れて壊すセットの作り直し、着ぐるみの猛暑の中で動き回る俳優さんの苦労、重さを表現するために当時流通し始めたばかりのウレタンを土の下に埋め込み、怪獣が歩くと一歩ごとに重みで地面が沈む仕掛けを作るなど、「特撮には絶えず工夫と勉強が必要で新しい技術や素材をいち早く使いこなす努力をした。現場はもう大変でしたね」と円谷プロでウルトラマンに長く関わった大岡新一・現円谷プロダクション社長は当時を振り返る。

大岡氏は主に特撮のカメラマンとしてウルトラマンにかかわってきたが、その後、制作部長などを経て2008年から社長となった。現物の25分の1の模型ミニチュアセットの現場で2m、10m、40mと変身したウルトラマンが怪獣と戦う実写を撮るわけだから並大抵の技では撮影できないし、そこに爆発シーンなどが入り、タイミングが合わないとすべてがムダになってしまうので、現場は真剣そのものだったという。まさに実写とミニチュアセットの組み合わせをいかにリアリティあふれる形で撮影するかが勝負だったのだ。

ウルトラマンたちの個性、経歴

ウルトラマンにはそれぞれの個性プロフィールがあり、それを意識することも重要だった。

たとえばウルトラマンは、身長40m、体重3万5,000トン、年齢2万歳、出身M78星雲・光の国、走行速度時速450km、飛行速度マッハ5、ジャンプ力500~800m、腕力10万トンタンカーを持ち上げる、といった具合だ。必殺技はスペシウム光線、ウルトラスラッシュなど。職業は宇宙大学教授、宇宙警備隊銀河系局長。家族は父が宇宙保安庁長官、母はウルトラ学校先生──といった具合で、ゾフィー、ウルトラセブン、ウルトラマンジャックなどもそれぞれ詳細な経歴、役割の設定と経歴があるのだ。

こうした個人履歴があることもリアリティを持たせ、子供たちの人気の背景となっているようだ。

ウルトラマンのTV制作には1本2,000~3,000万円、しかし局から出る支払いは数百万円程度で、結局良いものを作るため円谷プロが持ち出し負担となっていた。このため、円谷プロは何度か経営危機に陥っている。しかし、日本の誇る特撮技術には外国も敬意を表していたから手を抜くことができなかったのだ。

ただ、ウルトラマンは魅力的なキャラクター製品としての可能性がまだまだあることや、年間2,500件以上のライセンス商品が発売されることで維持されているのが実情だ。

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