中国よ、なぜ動かない? 北朝鮮危機で米国が突きつけた「最後通告」

 

さて、事の起こりは、本メールマガジンで何度もお伝えした今年4月に行われた中国の習近平国家主席と米国トランプ大統領の会談からはじまります。その際、まるで食事のあとのデザートのように「シリアの空爆開始」を習近平に伝えたトランプは、もうひとつの通達をしました。

それは、両国の貿易不均衡是正について100日以内に是正するのと同時に、北朝鮮へ100日以内に経済制裁もしくはなんらかの解決手段を強く求めたのです。

これも、本メールマガジンで何度もお伝えしておりますように、北朝鮮の命綱ともいうべき石油や水は、実質的に中国が支配し供給しています。北朝鮮は脅威と言いますが、北朝鮮にとって脅威は米国ではなく生殺与奪権を握っている中国で、中国からしてみれば、北朝鮮はわがままな子飼い」にすぎません。

しかし先週、中国は米国の意に反するように、ロシアのプーチン大統領とともに共同声明を発表し、北朝鮮が核・ミサイル開発を凍結するのと引き換えにアメリカと韓国が大規模な合同軍事演習を停止するべきだとカウンターアナウンスを発しました。

さらに、中露首脳声明では「北朝鮮が抱える合理的な懸念は尊重されるべきであり、ほかの国々は相応の努力をして相互に信頼する雰囲気をつくり出すべきだ」として、各国に冷静な対応を求めている、というより、米国の意向でアジアは動くべきではないと呼びかけているも同然になっています。

これは、アジアから米国を追い出す決意に聞こえますし、中期的に考えれば、米国はアジアから撤退せざるを得ません。その理由は、基地の維持費問題だけでなく、ICBMのような飛行距離が伸びた軍事テクノロジーや衛星が、いまや全地球を網羅できるからで、前線に滞在するのはリスクでしかなくなってきたからです。

一方、4月に行われた米中首脳会談時には、北朝鮮による新たな核実験や大陸間弾道ミサイルを発射するような「重大な挑発」があった場合、米中がそれぞれ独自の制裁を北朝鮮に科すことでも合意しています。

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