“腹心の友”が発した「安倍総理は金がかかる」発言の深刻さ

 

総理とその“腹心の友”をめぐる加計学園問題は、大疑獄事件にも発展しかねない暗部をのぞかせている。なにより加計学園理事長、加計孝太郎氏をこうした場に出させない政府与党の姿勢が、かえってネガティブな印象をつくりだしているのだ。

今治市に加計学園の獣医学部を新設することによる最大の受益者は、何といっても、加計孝太郎氏である。

加計疑惑を調べるのが閉会中審査の主眼なら、二人の主役、安倍総理と加計理事長の顔がそろわなくては話にならないだろう。

ところが、総理の差し金か、自民党の忖度なのか、肝心の加計氏は国会に出てこない。それだけではない。このところ世間から隠れるような生活ぶりなのである。

週刊新潮7月20日号によると、加計氏は岡山市内の官庁街にある高層マンションで20歳ほど年下の妻とともに隠れ家生活を送っているらしい。自宅につめかける報道陣を避けるためだろう。

妻の運転する車でスーパーに買い物に出かけたところを新潮の記者に直撃取材されたが、いっさい口を開かず、逃げるように去ったという。

どうして堂々としていられないのか。これまでにない先進の獣医学部を、この国のためにつくりたいのなら、熱くその理想を語り、圧倒的リアリティによって、国民の疑念を吹き飛ばせばいいではないか。

森友学園の籠池氏の場合、疑惑発覚後、財務省から、しばらく身を隠すよう指示されたと言うが、加計氏はどうなのだろう。逃げ回る必要などないと本人は思っているかもしれない。政府の都合に合わせているのだろうか

安倍首相との付き合いについて、加計氏はしばしばこんな話を周囲に漏らしているという。

「安倍総理とゴルフに行くのは楽しいけどお金がかかるんだよな。年間いくら使って面倒見てると思う?」

(週刊新潮7月20日号)

これが本当なら、総理の汚職事件に発展する可能性すら出てくるのではないか。

サンデー毎日7月30日号で、倉重篤郎氏がその点を元特捜検事で小池都知事の盟友、若狭勝衆院議員に聞いている。

若狭氏は「加計問題は贈収賄事件の素地がある」と指摘する。なぜなら、国家戦略特区の議長である安倍首相には職務権限があり、「平成30年4月開学」と尻を切ったことが便宜供与にあたるかもしれないからだ。

もうひとつの構成要件である賄賂の授受があったかどうか。これについて若狭氏はこう言う。

「金銭でなくてもいい。人の欲望を満たすものが利益として授受されていれば賄賂になり得る。ゴルフ接待、会食接待が相当数重なり、費用が全部加計持ちということであれば問題だ」

安倍首相は加計氏とのゴルフについて、「プレー代は私が払った」としながらも「食事代は私が持つ場合も当然ある」「何かを頼まれて御馳走になったことはない」と答えている。食事代についてははっきりさせたくないようだ。

加計氏がどのように安倍首相と付き合っていたのか。たとえ相手が総理大臣でも、検察は捜査に乗り出すべきではないか。

東京地検の鼎の軽重が問われる問題だ。僕が特捜部副部長なら関心を持たざるを得ない。そんなにある話ではない」と若狭氏は言う。

霞が関全体が、幹部人事を握る官邸の支配に怯えているようだが、このところ文科省や防衛省のなかから反乱の動きが出始めた。内閣支持率の急落による政権の動揺も大きい。特捜検察が久々に巨悪に挑むチャンスであることは確かだろう。

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