“腹心の友”が発した「安倍総理は金がかかる」発言の深刻さ

 

京都産業大の場合は京都府とともに提案者として名乗りを上げ、国家戦略特区ワーキンググループに対して、大西辰彦副学長と、鳥インフルエンザ研究で著名な大槻公一教授が計画内容を仔細に説明しているのである。

本来なら、京都府と同じように今治市の場合も加計学園が提案者として加わるべきだった。そして、ワーキンググループに対しては、同学園経営の岡山理科大学が研究、教育の中身を説明すべきであろう。

それをしなかった理由が、加計氏と安倍首相の関係にあるのなら、まさに個人的事情が行政プロセスを歪めているのである。

24日の衆院予算委員会で、民進党が示した表によると、安倍首相と加計理事長がゴルフや飲食をともにしたのは昨年だけで7回もある。場所は赤阪の日本料理店や宇田川町の焼き肉店、丸の内の鉄鋼ビルディングにあるラウンジなど。ゴルフは、山梨県山中湖町のコースである。

多忙を極める総理大臣が、たまの休みを親友のためにこれほど割くというのは、よほどのことだ。

二人の交遊は、2014年、15年とも年2~3回だったのに、内閣府が獣医学部新設へむけて文科省を追い込み始めた昨年になると7回に増えている。この間、加計氏から獣医学部についての話が出ないというほうが不自然であり、信用できない

昨年8月から9月にかけ、加計氏は山本有二農水大臣、山本幸三地方創生大臣、松野博一文科大臣に会い、獣医学部新設の話をしている。加計氏が総理の親友であるからこそできる芸当だろう。大学を有する学校法人の理事長とはいえ、そう簡単に大臣に会えるものではない。

和泉洋人総理補佐官の答弁も疑惑をさらに深めた。和泉補佐官といえば、昨年9月9日、前川喜平・文科省前事務次官を執務室へ呼びつけ、獣医学部新設への対応を急ぐよう要請。そのさい「これは総理が自分の口から言えないから私が代わって言うんだ」と語ったとされる。

その証言者である前川氏と問題発覚後初めて国会の場で対面した和泉補佐官が、何を語るかが注目されたが、予想通り、「記憶がない」という理由のもとに否定を繰り返した。

だが、大串博志議員(民進党)の執拗な質問攻めで、「言っていない」から「言わなかったと思っております」と表現があいまいになり、一貫して明確に証言を続ける前川氏との対比によって、その信憑性への疑いはますます強まった。

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