資本主義の限界。次世代経済システムのヒントは江戸時代にあり

 

資本主義の限界

資本主義は物がない時代には有効な経済システムである。拡大再生産して、どんどん製品を作ることができ、競争で製品の改良も進む。しかし、現状は物が溢れて、これ以上の物はいらない状態である。

新興国の需要も取り込んだが、新興国企業の生産が拡大して、世界的過剰生産になりデフレ状態になってしまった。新興国企業は労働賃金が安い分、先進国企業と比べて優位になっている。そして、これ以上の物が必要がない時代になり、また、先進国企業は新興国企業に駆逐されたことで、先進国には、投資先もなくなり、金利はゼロ%付近になり投資の拡大も必要がない状態になっている。

先進国は金融とIT産業にシフトしたが、雇用される労働者が少なく、高い能力も必要になり、世界から人材を集めることになり、先進国の多くの国民の利益になっていない。

先進国は資本主義経済の限界に突き当たったと見るしかない。

米国と英国が最初に新自由主義という資本主義の原理主義を推し進めたが、皮肉にも最初に、世界に先駆けて脱グローバルであり、管理貿易という脱資本主義の方向に行っている。

それがトランプ大統領であり、英国のEU離脱である。

米国が管理貿易という方向になったことで、世界的に管理貿易の方向になる。米国への輸出が大きな中国が最初に対応処置をとることになるとみる。

ということで、今後、米国の管理貿易の方向に進んでいくことになる。

国家の目的は、国民の利益を最大化することであるが、その目的が見えなくなり、資本主義では国民の利益の最大化が難しくなってきたのである。新しい経済や指導原理が必要になってきたようだ。

次の経済システムとは

このグローバルとローカルの問題が日本に既にあり、東京と地方の関係と同じで、地方は新幹線などの交通インフラが整うと、東京に仕事を吸い取られている状況である。地方の衰退で、若者が東京に集まっている。

世界も同じようなことが起きているが、向きは違う。航空機やインターネットの発展により、仕事が米国など先進国から新興国、途上国にシフトしているのである。

この衰退の対策として、日本の地方は再活性化策として、地産地消の運動を展開している。これと同じ方向になる。自給自足経済地産地消経済になる。

その地域や国で生産できる物をより多く生産して、余ったら世界に売る経済システムである。地域や国で生産効率の高いものから生産して、賃金の良いものに全員がありつけたら、後は外部から持ってくることである。

理念的な方向はそうであるが、なるべくエネルギー食料材料などの分野は自給することが求められる。この分野が自給されていると危機的な状態でも餓死することはない。ある程度、豊かな生活が送れることになる。

新しい江戸時代が始まるということは、このコラムでは複数回述べている。日本は明治時代に戻ろうという日本会議と私のように江戸時代に戻ろうという保守勢力がいる。

しかし、資本主義の限界になり、江戸時代に戻る方が今後の日本としては最適になっている。というより、世界が日本の江戸時代に戻ることが必要なのだ。世界が閉鎖的になり、フロンティアがなくなった時点で、拡大再生産システムは先進国では役割を終えたようである。昔の維持生産システムにシフトするしかないようである。

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