なぜ山形のカーペットメーカーは「皇室御用達」に選ばれたのか?

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世界的な知名度を誇る、山形のとあるカーペット企業。皇居や歌舞伎座などで採用され、超一流の方々の足元に触れることを許されたカーペットとは、一体どんなものなのでしょうか。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者の青山烈士さんが、「オリエンタルカーペット」の経営戦略を紹介しています。

新しいものへの挑戦

山形県にある世界的なカーペット(じゅうたん)メーカーを分析します。

オリエンタルカーペット(高級カーペットメーカー)

戦略ショートストーリー

足元にこだわる方をターゲットに、「日本で唯一の生産体制と独自技術」に支えられた「色の豊かさ、緻密なデザイン」「手触りがいい」などの強みで差別化しています。

皇室御用達であることや過去の納入実績に慢心することなく、著名なデザイナーとのコラボレーションなど、挑戦を続けることで、新たな顧客を開拓しています。

分析のポイント

新しいものへの挑戦

オリエンタルカーペットが力を入れているデザイナーラインに日本を代表するクリエィティブディレクターの佐藤可士和氏が加わったようです。奥山清行氏隈研吾氏を含めて、そうそうたる顔ぶれです。

ちなみに、奥山清行氏とのコラボレーションは、10年も続いているそうです。オリエンタルカーペットには、著名なデザイナーを惹きつけるものが、あるということでしょうか。奥山清行氏のインタビューがHPに記載されていましたので一部引用します↓

工場に行くと、職人さんが本当に丁寧にじゅうたんを織っていて。その姿を見て、涙が出るくらい感激したんです。

最高品質と言えるものを作っている職人さんの存在は、同じくプロフェッショナルであるデザイナーの方々も惹きつけるということでしょうね。

そして、第一級の施設への納入実績が物語っていますが、オリエンタルカーペットがつくっているものは、すべて芸術性が非常に高いものです。デザイナーとしては、デザイナー冥利に尽きる機会とも言えるかもしれません。

また、上記のようにデザイナーラインに力を入れていることから、オリエンタルカーペットが新しい顧客層(主に個人ユーザー)を獲得することを狙っていることが伺えます。

第一級の施設への納入実績はありますが、それらの施設から度々、発注があるわけではないと想定できます。例えば、歌舞伎座のメインロビーのカーペットなどは、そうそう入れ替えないでしょうからね。第一級の施設からの発注は一件あたりの売上でみると大きな案件と言えますが継続的に受注し続ける、つまり、案件と案件の間の隙間をなくすということは難しそうですし、案件の規模もまちまちでしょう。要するに第一級の施設からの発注に頼った経営をしていては売り上げの山谷が大きくなるとういうことです。これは、工場の稼働率の山谷も大きくなるということでもあります。

企業が継続するうえでも、安定的に受注がある、工場の稼働率が安定することは、非常に重要なことだと思います。だからこそ、安定的な売り上げにつながる、個人ユーザーを惹きつけるデザインを生み出すことができる著名なデザイナーは、オリエンタルカーペットにとって非常に重要な存在になっているのです。

以上のように、新しいものに挑戦(新しい価値を提供)するうえで、お互いを惹きつけるオリエンタルカーペットとデザイナーとの密な関係性も他社が真似できないコアコンピタンスといえるでしょう。歴史も実績もある企業が新しいものに挑戦している姿勢が素晴らしいと思います。今後のオリエンタルカーペットに注目していきたいです。

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