インド英語を堂々と話すインド人と、発音を気にする日本人

 

「日本人英語」を世界スタンダードに

英語とは、イギリスに起源を持つ言語だといわれていますが、今のイギリスで話されている英語が古来の発音やアクセントをそのまま維持しているかというと、必ずしもそうとはいえないのです。むしろ、イギリスから移民として渡ってきたアメリカ人が受け継ぐ米語の中に、元々の英語の発声の起源をみいだすことができるという専門家も多くいるのです。

正当な言語。それは、現在最も普通に喋られている言葉にすぎません

さらにいうならば、国家や民族としてのアイデンティティを維持するために、意図的に標準化されていったのが「正当な言語」なのです。

そもそも、世界で喋られる言語としての英語をみた場合、米語であろうが、英語であろうが、それを正当と決めてしまうこと自体に無理があるかもしれません。

インド人が強いアクセントの英語を喋るといいますがインド人からしてみれば、それがごく当たり前の英語というわけです。

そうした視点でこれからの日本の英語教育をみた場合、アクセントや発音にこだわりすぎ、日本人の英語とはなにかいう側面を忘れた場合、そこに大きな落とし穴があることを、ここで強調したいのです。

英語が世界言語である以上、米語のアクセントや発音に合わせ、少しでも似せてゆくことより、日本人のアクセントを世界に流通させる努力も必要なのです。それが日本の国益にもつながることをどれだけの人が意識しているでしょうか

さらにいうなら、自動翻訳や音声認識に関する技術が世界で共有されつつある現在、そうしたサービスに日本人のアクセントが対応できるようにしてゆく努力を怠ってはいけないのです。

英語の発音というビッグデータに、日本人のアクセントをしっかりと組み込んでゆく努力を我々は真剣に考える必要があります。それを怠ると、日本人がコンピュータに向かって喋っても、それが十分に認識されないという不利益につながってしまいます。

日本人は、明治維新以来、欧米に自らを合わせてゆくことに注力してきました。今、英語教育が見直されようとしています。話せて聞けて、コミュニケーションのできる英語を教えるようにという英語教育改革は歓迎されることです。
ただ、そのときに、発音やアクセントにこだわりすぎ、やれ舌の位置だの唇の動かし方だのを完璧にしようとすれば、むしろコミュニケーションそのものの能力開発が後回しになってしまいます。

日本人のアクセントで構わないので、通じて分かり合う英語力を磨く方が、はるかに大切なのです。正しい発音やアクセントという考え方は、米語を「正当な英語」と意識してはじめて成り立つ概念です。

今、大切なことは、世界に太刀打ちできる日本人を育てることです。「正当な言語」にこだわることではなく、日本人のアクセントがあっても堂々と世界の人々と分かり合える人材を育成することが求められているのです。それが、ビッグデータでの日本人英語の課題とリスクを考える上でも、忘れてはならないことなのです。 

 

image by: Shutterstock

山久瀬洋二この著者の記事一覧

たくさんの単語を覚え、丹念に文法を学習し、発音練習とヒアリング訓練に明け暮れても、英語で上手にコミュケーションがとれるようになるとは限りません。 それは、会話の背景に育った国・地域の文化や習慣の影響があるからです。 このメルマガでは、相手の趣旨を出来るだけ理解し、自分の意図ををより正確にに伝える「異文化コミュニーション」の手法をお伝えします。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 山久瀬洋二 えいごism 』

【著者】 山久瀬洋二 【発行周期】 ほぼ週刊

print
  • PR 我が家のマンション、今どれくらい? 不動産のプロがオンラインで無料査定
    我が家のマンション、今どれくらい? 不動産のプロがオンラインで無料査定
    (PR:株式会社ウェイブダッシュ)

  • インド英語を堂々と話すインド人と、発音を気にする日本人
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け