1日で1億円売った伝説の販売士も。実演販売プロ集団の「伝える力」

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ガマの油売り、バナナの叩き売りなど、かつては伝統芸能や見世物といったエンターテインメント的要素の強かった「実演販売」。しかし、現在はネットで情報が飛び交う時代。口の上手さだけで売れるほど甘くはありません。「テレビ東京『カンブリア宮殿』(mine)」は、放送内容を読むだけで分かるようにテキスト化して配信。「実演販売と言えども、きちんと良い商品を売ってお客様の信用を得たい」と考えた、ある社長の挑戦を追いました。

東急ハンズに客殺到~実演販売プロの極意

東京・新宿の「東急ハンズ」新宿店。フロアの一角に立つ女性の前に、人だかりができていた。

「エアコンの臭いが出てくるのってここなんですね。見たことあります?」

この時期、気になるだけに、どんどんお客が集まってくる。

「奥が汚れてる。実はこの裏側が一番カビが生えている。手の届かないところ。見えてないところ。これを『カビッシュトレール』で……」

これは実演販売。売っているのはエアコン用のクリーナー『カビッシュトレール』(約2700円)だ。まずは泡の出るスプレーで内部のカビをからめとる。

「お顔の毛穴の汚れも泡で吸着するでしょ? この中もそう。ぶすっと差し込む。奥に突き当たったら、ブシューっと1、2、3、4、5。今、泡入れましたよね。しばらくすると奥のカビ。だいたいこれ3年のエアコン。この点、点、点はカビ……」

商品の実力が目の前で見せつけられる実演販売。だから見ていたお客は次々とお買い上げ。実演で売るエアコン・クリーナーは、この店の掃除用品部門の年間トップ5に入る売れ行きだという。

「大変好評で、実演目当てに来店して下さる方もいます。実演販売の力はとても大きいと思います」(「東急ハンズ」新宿店の千野純奈さん)

売っていた女性は実演販売を専門にするプロフェッショナルだった。

別の日の群馬県前橋市。彼女は大手スーパー「アピタ」前橋店にやってきた。競争激化でいまスーパー業界は苦しい状況。ここも例外ではない。「消費は全体として厳しい状況はあると思います。何もしないと売上げが上がらない」(ユニー関東営業部の蜂須茂敏さん)という。そこで、起爆剤として実演販売を呼んだのだ。

今回売るのは「スーパーストーンバリアフライパン」(約5000円)と「スーパーストーンバリア包丁」(約7000円)。どちらも刃物で有名な岐阜県関市のメーカーがつくった。最新技術のコーティングがしてあるという。午前11時、実演スタート。

「これはスーパーストーンバリアといって、わかる? ツルツル。油もバターもいっさい使わないでOKよ」

どんどんお客が集まってきた。すかさず次の一手を打つ。薄焼き玉子を調理するのだ。

「油使ってないのに、くっつかない。いくわよ。ぺろぺろぺろ~。綺麗でしょう」

お客さんの目が点になっている。今度は包丁だ。

「切りにくいカボチャ。手、痛いでしょ? カボチャといったら切りにくい代表選手。さくっと切れちゃう。すごくない?」

引き込まれるお客さん。さらに実際にやってもらうと、「全然違うんだけど」と歓声が。大満足でお買い上げ。さらにその足で野菜コーナーへ行き、カボチャも買った。これぞまさに実演販売の効果だ。こうしてフライパンも包丁もどんどん売れていく。午後6時、実演販売が終了。合計32個。売上げは15万円を超えた

「これだけの商品を陳列しているだけでは売れませんので、実演販売の方が店頭に立って頂いたことでそれだけの効果が出たと思います」(蜂須さん)

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