日本語の「正義」にあって英語の「justice」にはない、大切なもの

 

「justice」の語幹「just」は天秤の釣り合いを示す。前にも紹介したことがあるが、タロットカードのNo.11「justice」の絵柄は、天秤と剣を持った「裁判の女神」の姿である。

裁判とは、物事を測る天秤が「正義」の水平を示すようバランスをとる行為に他ならない。つまり、罪の深い者に「正義の剣」で罰を与え、他方に利益をもたらすことで、両者のバランスをとろうとするものである。

難しいのは、その「正義の剣」を誰がふるうかという点である。歴史上では、「正義の剣」を持つものは、常に強者勝者である。

日本は、降伏宣言を1945年8月15日にした。しかし、当時の敗戦国に正義の権利はない。ロシアが「そんなの知らない」といえば、ロシアの「正義」が通る。北方領土問題の解決の難しさは、「正義の所在の違いである。

今、「正義の剣」は、どの国が握っているのか。言わずもがな、アメリカ合衆国に他ならない。世界中のどの国も、アメリカを無視しての国政は有り得ない。日本にとっても、アメリカの「核の傘」の恩恵は無視できないし、下手に沖縄から米軍を撤退させられない。

自衛隊の米軍への後方支援としての「人道支援」とは何なのかという、安保問題の難しさもある。結局、日本はアメリカの「正義の剣」によって、「平和」のバランスをとっているのが実情である。

つまり「平和に向けた正義の戦い」というのは、世界レベルの視点からいうと、有り得ない。ある特定の国の視点でしかない。

そもそも英語の「justice」と日本語の正義という言葉はイコールではない。日本語の「正義」には「人間行為の正しさ」という意味がある。戦争にjusticeはあっても正義はない。文化の違いである。

終戦記念日は、日本という国の在り方について考える機会にしたい。

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