ソフトバンクの「解約率」から見えてくる、都合のいい数字の作り方

 

一方、NTTドコモの0.67%という解約率は、MVNO関連は含まれていないが、データ通信端末やタブレットの解約をしっかりと含んだ数字だ。吉澤和弘社長が会見で「解約率が上昇したのは、2年前に販促をかけたタブレットの解約による特殊要因」と語っており、しっかりとタブレットの数字が計上されているのがわかる。

ソフトバンクとして、これから注視しなくてはいけない数字は通信ARPUだろう。実際のところ、今期のARPUは3830円であり、前年同期に比べて220円も減っている。

決算短信では「スマホ契約は増えたが、ワイモバイルの構成比率上昇と、おうち割光セットの割引によるマイナス影響が上回った」としている。

今のソフトバンクはワイモバイルが好調な点に支えられているのだろうが、結果として、一人あたりのARPUは下がってしまうのは避けて通れない。

その点、KDDIは、UQモバイルが別会社であるため、UQモバイルが増えても、ソフトバンクのような影響はないだろう。ただし、新料金プランによって、どれだけARPA(KDDIはARPUではなくARPA)が下がってくるかが見物だ。

いずれにしても、ここ最近の決算会見は、悪い数字はプレゼン資料から外すということをやりがちなので、決算短信を含めて、こまめに数字や注記を見ていく必要がありそうだ。

image by: WikimediaCommons(Masaru Kamikura)

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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