2016年にスイスでこの制度を導入するか国民投票が行われましたが、大差で否決されました。
オランダやフィンランド、そしてカナダなどでもこの制度の導入の検討にはいっていますが、未だに成功した事例はありません。
ベーシックインカムに向けた財源はどうするのでしょうか。
また、生活保護や失業保険などの福祉政策、年金制度などとの整合性をどのように位置付けるのでしょうか。
さらに、富裕層とそうでない国民との不公平感をいかに是正すればいいのでしょうか。
また、国の財政難に拍車をかけることにはならないのでしょうか。
課題はいくつかありそうです。
さらに、AIなどの進化で失われる職業による失業者の救済にこの制度が適しているかどうかという実験も必要となりそうです。
ベーシックインカムはすべての人が対象となることで、逆に不公平感を是正しようという画期的な発想でもあります。
しかし、この制度の導入には、国民がいかに格差を捉え、恵まれない境遇にある人への深い洞察と同情を共有できるかという課題を克服しなければなりません。
格差が個人ではなく社会全体の課題であるという意識への支持も必要です。
成熟し円熟した大人の社会によってこの制度が受け入れられるかどうか。
制度の導入にはこれから数十年の粘り強い試行錯誤が求められるのかもしれません。
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