結果、懲戒解雇の部分については「社員の勤務状況が良好ではなく行動にも問題がある」として認められました。ただし、給与の減額については「無効」とされたのです。(つまり「その分は支払いなさい」ということですね)。どういうことか。
「自宅待機」を命じるには方法が2つあります。
- 業務命令
- 懲戒処分としての出勤停止
今回の裁判では、「業務命令」として自宅待機が命じられていました。それはつまり「仕事として自宅にいなさい」と命令することですので「給与が発生する」ということになるのです(「なんか、納得いかない…」という声が聞こえてきそうですが)。
では、そうならないために「懲戒処分としての出勤停止」にするとどうなるか。すると今後は「懲戒解雇ができない」ということになってしまいます。なぜか。法律では1つの行為に対して二重の罰を与えることは禁止されているからです。(ちょっと難しい言葉でいうと「一事不再理」と言います)。
※ ご参考:一事不再理(Wikipedia)
つまり、懲戒処分として出勤停止をしてしまうと、解雇理由になった行為を「出勤停止」として罰したことになってしまうため、それ以上、罰することができなくなってしまうのです(要するに「出勤停止」と「懲戒解雇」で二重に罰することはできないということです)。